上手くいかない歯周病治療

先日歯周病の専門医がクリニックに来て講義をしてくれました。

彼はマルメ大学出身、ヨーテボリで勉強し今は専門医としてストックホルムで働いているとのことです。
講義はとても分かりやすく、歯周病治療へのモチベーションが上がりました。
炎症を戦争、細胞を軍に例え、炎症の最前線で何が行われているかの説明は本当に面白かったです。分岐部のスケーリングをする場合は、自分が小さくなって、分岐部に入り込んでいるイメージをしているそうです。
そんな興味深い講義のおかげで歯周病治療のモチベーションがより上がったのですが。。。モチベーションが上がったのは歯科医師と1部の衛生士さんだけ・・・

実は私たちの働くクリニック(おそらく他もそうだと思いますが)では歯周病治療のやり方が問題になっています。

それは、歯科医師と(1部の)衛生士の連携がうまく行っていないことと、患者さんが歯周病の自覚なく定期的に衛生士さんのもとで歯石取りをしているけれど何年たっても歯周病が治らないことです。(自分が歯周病という自覚がないのであたりまえですが)
上司の1人が衛生士さんでしたが、彼女がクリニックの歯周病治療のやり方に疑問を持ったのと度重なる歯科医師から衛生士に対する苦情に、クリニック全体で歯周病治療の質を上げていこうということで会議のたびに取り上げられていました。

なぜ歯周病の改善がみられなかったのか、それは再評価が行われていなかったというのが大きな理由の1つです。
歯科の治療で最も大切なことの1つは再評価だと思います。
自分たちの治療が成功したか、改善が見られたかを評価しなければ、そのまま治ったか治らなかったかもわからず宙ぶらりんです。

また、難しいペリオの患者さんを診たがらない衛生士さんたちがいるのも問題です。クリニックには歯周病専門の資格を持った(ニッシュと呼ばれる)衛生士さんがいて、歯科医師たちは重度歯周病のケースを信頼できる彼女にばかり予約するようになりました。
そしてついに彼女から、ほかの衛生士にも予約しないとほかの衛生士の技術が上がらないのでみんなに平等に予約をするように歯科医師たちが注意されました。

歯科医師たちはほかの衛生士たちにも予約するようになりましたが、それが全くうまく行きません。
歯石は残っているしプラークコントロールもできていません。
挙句の果てに『難しいケースはAに予約して』と治療を拒否しはじめました。

歯周病の初期治療は、ざっと
1、診査、計画
2、衛生士さんのもとでMIB(メカニカルインフェクショントリートメント、つまりスケーリングのことです。)TBI
3、必要によっては再びTBI
4、再評価

こんな流れになりますが、とりあえず2だけを繰り返しているケースが後を絶ちません。
15年以上働いているベテランの衛生士さんたちに見られる傾向ですが、彼女たちも長年働いてきた方法を変えるのは難しいのでしょうか・・・

今、歯科医師は歯周病の患者さんに出会ったら計画を立ててカルテに書いて衛生士さんに予約を取っていますが、なかなか連携がうまく行きません。とにかくケースの相談ができないです。
ニッシュのAさんとはケースを一緒に相談したり、カルテ上でもうまくやり取りできるのでうまく連携できるのですが。。。(だからどうしても、Aさんに難しいケースを予約したくなります)

これからどう私たち歯科医師が引っ張っていくのか、みんなで考えなければいけないと常に話しています。
歯科衛生士の業務範囲が広いスウェーデン、それだけ歯科医師がリードして治療を進めていくのが難しいと感じています。

これからどうなっていくのか・・・

今流行りのロイテリ菌。

日本のSNS、ネットやテレビで話題になっているロイテリ菌。
スウェーデンで働いているので、各方面から『ロイテリ菌ってどうなの?』と質問を受けることがあります。

ずばり、私は日本の先生に聞くまでロイテリ菌を知りませんでした。
カリエスの授業では、プロバイオティクスがちょろっと出てきましたが、スウェーデンの歯科の現場でスタンダードに勧められているものではないと思います。
患者さんにも聞かれたことがなければ、職場の話題にもぼることもありません。

そこで、スウェーデンでは実際にロイテリ菌・プロバイオティクスが歯科でどのような立場なのかを調べてみました。

今回参考にしたページは、スウェーデンの専門医や教授が歯科について書いているサイト、Internetodontologi・スウェーデンの歯科新聞、Tandläkaretidning・そしてSosのナショナルガイドラインです。

この中でロイテリ菌単独に触れているのは2016年6月14日に書かれた歯科新聞の記事だけで、後はロイテリ菌ではなくプロバイオティクスとしてまとめて書かれていました。

まず、すべての記事・ガイドラインにおいてプロバイオティクスとカリエスについて述べており、歯周病に関しては詳しく書かれていませんでしたので、今回はプロバイオティクスとカリエスについて書いていきます。

プロバイオティクスの効果のメカニズムは正確にはわかっていませんが、口腔内直接への作用と腸内に作用し間接的に効果を示すということが考えられています。口腔内のバイオフィルムに作用し、さらに口腔内の疾患を引き起こす細菌の邪魔をします。
間接的な効果は腸を介して免疫力を高めるそうです。
プロバイオティクスは医薬品ではなく、サプリメントとして扱われており、そのため、商品の生産者はプロバイオティクスの効果を消費者に宣伝してはいけない決まりになっています。

2018年9月に更新されていたInternetodontologiでは様々な研究を説明していますが、結論としては
今の時点で、プロバイオティクスを定期的に乳歯列の子供に与えるのはカリエス予防効果があるというエビデンスがいくつかはあるようですが、若年者・成人・そして高齢者への効果に対しては十分なエビデンスはないようです。
なので、より長期的で質の高い研究をさらにしていく必要があります。

研究のなかには、高齢者の根面カリエスに効果があることを示していたり、カンジダの発生を減少させることを示すものもありますし、カリエスリスクの高い子供への使用でフッ化物を日常的に使用しているのとほぼ同等の効果を示したものもあります。しかし、永久歯のカリエスへの効果に対してはまだ十分なエビデンスがありません。ないとは言い切れないし、効果はあるって研究はちらほらあるけど、まだ言い切れない!というのが現状のようです。

さらに、現在の段階では、長期的に見た社会的な利益と期待できる口腔および全身への利益を考慮した、医療経済的な評価がありません(直訳になってしまった上に私も医療経済について理解がないので良くわからずすみません。誰か詳しい方、教えてください!)ので、プロバイオティクスをアクティブに勧める段階ではないのかもしれません。

さて、歯科新聞では、Prodentisというまさにロイテリ菌の効果について言及していますが、これはデンマークとスウェーデンで行われた研究を紹介しています。
この研究では、ロイテリ菌の、18歳から32歳の健康な41人唾液中のIgAとサイトカインに対する効果を調べているのですが対照群とプラセボ群の有意差はなかったとのことです。但し、これは1つだけの研究についてですし、短い期間での実験ですのでこの効果がない、というのも鵜呑みにできません。

ということで、プロバイオティクスが確実な効果があるのか・ないのかを解明するにはさらなる研究が必要なようです。

スウェーデンで現在用いられているガイドラインには、
『チーズ・プロバイオティクス』の使用は、初期カリエスがあり進行のリスクがある人・カリエスリスクがある人に対しては、いまだにエビデンスが足りず結論を出すことができないという状態になっています。

ガイドラインはそろそろ改訂版が出ると思いますので、改訂版でどうなっているのか、また報告したいと思います。

どうしてスウェーデンではよく知られていないのに、日本では人気?になったんだろうと考えてみました。
日本もサプリは薬事品ではないので薬事効果を宣伝してはいけないということになっていると思うのですが、薬事法の隙間を狙った表現で宣伝してきますし、(スウェーデンでもそうなのかもしれませんが)テレビなどで健康に関する番組が多いですよね。取り上げられたものは話題になり広まりやすいと思うのですが、こちらでは健康番組のようなものはあまりないため、広まりにくいのかもしれません。
テレビの番組の質が全く違います。

今回調べていて思ったのは、フッ化物恐怖症の家族に産まれた子供たち(乳歯列)になら、勧めてもいいのかもしれないということです。
そういえばカロリンスカの過去問にもプロバイオティクスをフッ化物恐怖症の人の子供に勧めるという問題があったような気がします。
エビデンスはまだ確実ではないですが、副作用もないようですし、良い代替法かもしれません!
同僚たちにも見解を聞いてみたいと思います!

※今回の記事はあくまでも現在のスウェーデンのロイテリ菌・プロバイオティクスの位置づけについて述べているだけですので、現在使っていて、口の中がすっきりする・自分には虫歯効果があるという方たちのことを否定しているわけではありません。歯科医師としてスタンダードな虫歯予防としては積極的には勧められませんが、副作用もないようですしもしかしたら今後効果があるというエビデンスがでてくるかもしれませんね!

それから、日本のスウェーデンのイメージと実際のスウェーデンの差がすごくてたまに驚きます。スウェーデン式なんとか・・・のような本も良く見ますが、それは筆者の方のスウェーデンのイメージなのでは・・・『そうじゃないのになぁ。どこから来たんだろう、その情報』とと思うこともしばしば。
日本のみなさんの『素敵なスウェーデン』のイメージを壊したくないと同時に、スウェーデンだって問題だらけだわ!と突っ込みたくなることもあり葛藤しています。

私の葛藤

働き始めてあっという間に3か月がたちました。
毎日楽しく働いていますが、ここで働いていると感じる葛藤があります。

システムや職場には大満足ですが、どうしても慣れないことが。

それは、歯科治療の値段が高い、ということです。
日本のように保険治療・自費治療が選べないためお金がない人たちへ応急的な処置すらできないことがあります。

今日出会ったケースを少しフィクションにしてお話しします。

Iさん、56歳。ある自己免疫疾患にかかり仕事ができない。歯科恐怖症。
疾患のため、唾液がでにくくカリエスリスクも高い。
歯科治療のお金はないが、Socialtjänstenという社会福祉サービスの組織に治療計画と治療費を前もって申請すれば治療のお金を出してもらえる。但し、治療計画を立てるために健診が必要で、本日健診のために受診。
カリエスが数本。2歯、大きな窩洞があいている。生活歯で症状もないので今治療すればエンドをしなくてよさそう(患者さんはエンド治療が様々な理由でできないので、抜歯になる)
ただし、スウェーデンでは仮封にも5000円ほどお金がかかる。
それを伝えると、患者さんは『そんなにお金がありません・・・』と。

払えないならしょうがない、と仮封をしないで予約を取り直す(数か月先)か
無料で仮封をするか・・・(仮封といっても、カリエスをある程度とってグラスアイオノマーでの充填です。)

日本に住んでいた時なら、『そんな仮封くらいすぐできるしなにをつべこべ考えてるの』と思ったかもしれないですが、ここで働いていると、自分が行った処置はきちんとすべて入力してお金をもらうように口を酸っぱくして言われます。
医療はサービスではなく、私たちの知識と技術にお金がかかるのは当たり前。自分の歯科医師としてのプライドを捨てずにお金をもらいなさい、と。
たかだか410Krですが、されど410Kr、私はこの行為をタダで提供していいものなのか悩みました。
私は、今回だけは・・・といって仮封をしました。この2本が抜歯になってしまったら患者さんは噛めるところが少なくなってしまうし、抜歯がリスクになる状態だったからです。でも、ここでは『お金がないならできない』というのもおそらく不正解になりません。助手さんはスウェーデン育ちの人で『お金が払えないのにやるの?』という感じでした。もしこの助手さんが上司に告げ口をしたら注意されるかもしれません。

歯のため・患者さんのためになることをやっているはずなのになぜか少し罪悪感を感じてしまう自分に悲しくなりました。

高額な歯科治療。
その為歯科治療は最低限の治療しか選べないことも多いです。
スウェーデンの医療サイト1177からの引用ですが

“Det finns även situationer då tandläkaren bedömer att det är rimligt att dra ut en tand, även om den skulle kunna repareras.
Det är tandläkaren som bedömer vilken behandling som passar bäst för varje person, men också vilken billigare behandling som skulle kunna fungera om du för tillfället inte har råd med den dyrare behandlingen.”

“修復できる歯でも、抜歯するのが適切だと歯科医師が判断する場合があります (費用的な意味で)。
歯科医師はどの治療が患者さんに最善かを判断しますが、歯科治療を受けるお金がない人により安い治療を考えるのも歯科医師の仕事です”

ということで、本当はクラウンを選択したい歯に対して、CRもりもり治療をしなければならないケース、エンドしたくてもお金がないから抜歯になるケースがたくさんあります。

日本の歯科医療費は悲しくなるほど安いですが、とりあえずやってみよう!残してみよう!という選択がしやすいのに対して、ここでは『高いからできません』と治療を泣く泣くあきらめなければいけないことがよくあります・・・。

もう一つの問題。

今働いている公共の歯科では、フリスクタンドヴォードという歯科保険があります。この保険の契約が会社の売り上げになっているのですが、実はこの保険が売られ始めた時は競争のようになっていて、とにかく保険を売れ!!という雰囲気だったようです。
週で1番保険を売った人はランチ券や花束、映画のチケットやプレゼントをもらったりしたそうです。
保険は3年ごとの更新で、今2015年ごろに保険を契約した人の更新が毎日のようにあります。フリスクタンドヴォードでは、グループが1から10ありリスクの多さによってグループが高くなります。
リスク判定は一般リスク(1から3)、カリエスリスク(1から3)、ペリオリスク(1から3)、テクニックリスク(1から3)の4つに分かれており、例えば歯間の清掃があまりできていない、少しペリオがある方は一般リスク1、ペリオリスク1になります。ここでやっかいなのがテクニックリスクで、例えばアマルガム充填が何歯もあるとリスクが急に3になってしまいます。
更新時には新しいリスク判定をしなければいけないのですが、2015年にされたリスク判定がもう本当にはちゃめちゃで、アマルガムだらけの患者さんにも保険をとにかく売りたかったからかリスクを0などにしてありとにかく不正にグループが低い患者さんがかなり多いです。
きちんと判定すると、更新時にグループがいきなり2から6になり値段が倍になったりしてしまい、更新しない患者さんやなかには怒り出す方もいます。

その時は、きちんと目の前でリスク判定の方法を見てもらいますが、前の先生たちが保険の契約を結ぶためにズルしてグループを低くしたことへの言い訳をするのがとても困ります。
更新しない患者さんが増えると上から注意される可能性がありますし、かといって嘘をつくわけにもいかないのでかなり困っています。それでもきちんとした判定をしていますが・・・

間違って低くグループ分けをされたアマルガムだらけ、CRだらけの人が3年の間に何度も何度も破折やエンド、クラウン、抜歯、さらにはナイトガードまでつくるケースが最近かなりあり、私たちはかなりの安い値段で働くことになります。
フリスクタンドヴォードの治療費は普通の治療のように計算されないようなので、いくらエンドをやってもクラウンをやっても私の稼ぎは見えてきません。
上司は残念ながら実際の治療よりいくら稼いでいるかだけを見る人なので、そうなると昇給も難しくなってしまいます。

ご褒美をもらうためにフリスクタンドヴォードを契約しまくった先生方はみんなもういないので結局残っている私たちがしりぬぐいをする羽目になります。

お金を稼ぐために、ご褒美をもらうために少しズルをする人はどの国もいると思いますが、嫌な思いをするのは患者さんと、その後に診る人たちだということを忘れないでほしいです。まぁ、自分が良ければそれでいいという人もかなり多いのでそうはいかないのでしょうが・・・

唯一フリスクタンドヴォードのいいところは、患者さんがエンドもクラウンも快諾してくれるので、とりあえずの治療ができることです。

でも、それ以外はあまりいい思いをしたことがありません。

愚痴っぽくなってしまいましたが、この『お金だけかせげればいいや』『自分だけ良ければいいや』という考えに飲み込まれない様に気を引き締めて自分らしく原らいていきたいと思います。

最後に、仲の良い同僚の名言で終わりたいと思います!
『Jag vill vara en vårdgivare inte vårdsäljare!!』
『私は医療販売者じゃなくて、医療提供者になりたい!!』

スウェーデンの歯科鎮静

仕事にもだいぶ慣れてきて、毎日なんとか楽しく過ごしています。
できないことが多く焦ることもありますが、模索しながらこなしています。
エンドのケースを任されることが多くなり、マイクロでエンドをするようになりました!楽しいのですが、こちらは難易度が高いケースが多いと感じています。
また、アマルガムの入った歯に亀裂が入りPul, Perになってエンドや抜歯のケースがとても多いです。
破折した歯の抜歯がかなり多いのですが、みんな根が長く湾曲しており、骨が固いので抜歯がとても難しいです。
そして、下顎の臼歯部は浸麻がほとんど効かず、普通のC処ですら伝麻が必要になることに驚いています。

さて、先日歯科鎮静のコースに参加してきたので少し紹介したいと思います。

スウェーデンの一般歯科において用いられる鎮静は、経口もしくは経腸のミダゾラムです(笑気もOKですが、もっているクリニックが少ないそうです)!とてもシンプルです。ミダゾラム、10mg以下、1歳以上の人に使用できます。
子供は体重によりミダゾラムの量が決められます。ジュースに混ぜて治療の前に飲んでもらい、15分から20分たったら治療を始めます。効果は飲み始めてから1時間ほどなので、治療後はクリニックにある休憩室で休んでもらい帰ってもらいます。
日本ではどのような鎮静を使用するかうろ覚えなのですが、他の先生方に教えてもらったところによるとミダゾラムの静脈鎮静、とのことでした。
こちらでは歯科医師は静脈鎮静を行うことはできません。もちろんですが、全身麻酔もかけられません。
麻酔医師が常勤している病院歯科では、静脈鎮静や10mgより多いミダゾラム、そして全身麻酔で歯科治療を受けることができます。
病院歯科があるダンデリード病院では、年に約900件の全身麻酔治療が行われているとのことです。

なぜ一般歯科で扱えるミダゾラムが10mg以下かというと、10mgのミダゾラムでオーバードーズが起こる割合が1%以下だからだそうです。
そして15分から20分後で、85%の人がちょうどいい鎮静状態に陥ります。70から80%の人に健忘効果が現れ、20から30%の人ではマイルドな記憶として治療中のことを覚えているそうです。
但し、耐性ができだんだんと効果が薄れていくそうなので、連続での鎮静は4回までにとどめそのあとはしばらく期間をあけなければいけません。

ジアゼパムも稀に使用されるそうですが、効果が長くそしてマイルドなので、治療は受けられるけれど心配で夜寝られなくなってしまう人等に事前に処方することもあるようです。
ジアゼパムを常用している方に対しては、ミダゾラムを診療前に飲んでもらいます。

ミダゾラムは苦く、子供では飲んでいる途中に吐き出してしまうこともあるようです。その場合は子供がどれくらい飲んだのかわからず、追加で飲ませることもできないので(オーバードーズになる可能性があるため)その場で中断し、日を改めて経腸で摂取してもらいます。

これから鎮静のケースを集めなければいけないので、治療が怖くてできない患者さんがいたら使用したいと思います。

つい先日、初めてOrtvisningといって矯正の専門医がクリニックに来て、無料で矯正治療を受けられるかを判断していく日に参加したので、その時の様子もブログに書けたらと思っています。

仕事が始まった!

ついについに、スウェーデンで歯科医師として働き始めました!
ついに念願のLeg. tandläkare(免許を持つ歯科医師)のタイトルの名札をもらい先々週から始まりました!
それが想像以上にハードで、さらに毎日慣れないことだらけ。。。
ヒィヒィ言いながら働いてます!

今一番つらいのは、スウェーデン語です。
思うように説明できない、うまい言葉が出てこない、日本語と同じようにはいかず苦労しています。
それから、カルテの記載、カルテシステムにも一苦労。。。
慣れないというのもあるのですが、記載することやシステムのルールがとても多くまだまだ時間がかかってしまいます・・・。

職場に就職が決まったときに、エンドが好きだからエンドをたくさんやりたい!といっていたので上司が『じゃあマイクロを買わなきゃね』と言ってくれていました。さらに、働く前からエンドの患者さんをたくさん予約してくれていました。
ところが、働き始めてマイクロをいつ購入してくれるのか聞いたところ『クリニックの経済状況がよくなったらね~』なんてはぐらかされてしまっていて、マイクロがなくて難症例ばかりを予約されていたので、結局何もできず専門医をお勧めするということになってしまっていました。
その為、エンドをたくさん予約されても患者さんのためになることができず、しかもマイクロは買ってもらえなさそうだったので最悪マイクロがあるところに移動しようかと迷っていました(両隣の駅のFTVにはマイクロがあります)。
それが、先週!
上司に呼ばれ部屋に行くと『マイクロ、FTVの本社が買ってもいいと言ってくれたから、もう少ししたら頼めそうだよ、まだみんなに内緒ね。』と言われ、そして次の日に『マイクロ注文したよ!』と言われたのでビックリしました!!!

9月の中旬に来るようです。とんとん拍子で事が進んでとても嬉しいです。

FTVでは、歯科医師と歯科助手がペアになって働きます。
私の担当の歯科助手さんはベテランの優しい女性で、すごくすごく頼りにしています。彼女がいなければ、今まで仕事にならなかったことでしょう・・・
歯科助手さんは歯石を取ったり、浸潤麻酔をかけたり、レントゲンも撮れるので
時間がないときは助手さんに色々なことをお願いすることができます。
実際、彼女のほうがレントゲンを撮るのが上手なので、いつも指導してもらいながら撮っています・・・毎日感謝してます。

週に40時間働いていますが、しばらくぶりにフルタイムで働いているのでかなり疲れます。(しかも7:30に仕事が始まります・・・そしてランチは30分・・・)でも、これからこちらで活躍できるように頑張りたいと思います!!

歯科医師免許取得!

両親がこちらに遊びに来たり、スコーネ地方の歯科医師の先輩方に会いに行っておりバタバタしていてご報告が遅くなりましたが、

スウェーデンで歯科医師免許を取得することができました!

タイミングよく、両親が来ているときにSosから免許書が届いたのでお祝いしてもらいとても嬉しかったです。
ペラペラの紙で、日本の歯科医師免許との違いに笑ってしまいましたが念願の免許・・・ついにこれからは『歯学部生=Tandläkarstudent』でなく『資格のある歯科医師= Leg. Tandläkare』として働くことができます!!

ということで、ご報告まで・・・

コメント、全然返せていなくて申し訳ありません・・・
時間ができ次第返しますのでお待ちください!

老人ホームの歯科検診

掃除に追われている毎日です。
狭いスペースで生活するのに慣れているので、1部屋持て余しており完全にゴミやいらないものを置く倉庫になっていました。でもその部屋は着物がディスプレイされており畳シートも引いてある一応和室なのできちんと活用しよう!と思い掃除を開始しました。
まだまだ時間はかかりそうですが、頑張ります!
いずれは家具なども置いてゲストルームにしたいと思います(ゲストあまり来ませんが・・・)
海外在住者にとっては例えそれが畳シートであったとしても畳の感触や匂いは懐かしく、落ち着くものです。畳の上にいると、ほんのりと『あぁ、死ぬときは畳の上で・・・』なんて思ったりしますがもしスウェーデンで一生を終えるとすると言葉もままならないところで老後を過ごし、老人ホームではスタッフの方たちと意思の疎通もままならないまま生涯を終えるのか・・・と思い少し怖いです。
先日亡くなった義理の祖母の最後の様子を見て、あまりポジティブなイメージがわかなかったスウェーデンの老人ホームですが、コース在学中に老人ホームに検診に行く機会がありました。

老人ホームで歯科検診を担当している衛生士さんについて回ったのですが、奇しくもその衛生士さんは義理の祖母が住んでいた老人ホームも担当しており、彼女のことを知っていました。亡くなったことを伝えると、残念がっていました。
実は老人ホーム検診は祖母の容態が悪くなる前に知らされていたので、『祖母の検診できるといいな』と楽しみにしていたのですが、間に合わず残念に思います。
どちらにしろ、今回訪問したところは同じコミューンの違う老人ホームだったので診ることはできなかったのですが。

今回検診に行ったのは公共の老人ホームで、検診は1年に1回(だったと思うのですが、正確でないのできちんと調べます・・・半年に1回だったかも・・・)
衛生士さんが行います。
検診といっても、ミラーのみで行うかなり簡易なものでした。

私たちはまず、比較的元気な方たちが住む棟から検診を開始しました。
検診は老人ホームのスタッフさん(看護師さんまたはアンダーナース)とともに行います。
まずは入居者さんとスタッフの方に話を伺い、前回の検診時にアドバイスしたとおりにきちんと口腔ケアが行われているかなどをチェックしました。そのあと、口腔内をペンライトとミラーでチェックしました。検診項目は、
・歯が上顎下顎に何本あるか。
・今痛みはあるか、治療の必要性
・ペリオ・カリエスの状態(視診で確認)
・口腔乾燥
・口腔衛生状態(1~10)
というかなり簡易的なもので、そのあと口腔乾燥の状態などを確認、患者さんに合った口腔衛生指導を行うという感じです。
また、治療が必要な方たちにはスタッフと本人に歯科医院を受診するように指導しました。

元気な方たちが住む棟では、ほとんどの方がご自分で口腔ケアを行っていました。高齢、もしくは基礎疾患を抱える方が多いので何種類もの薬を服用しており、ほとんどの方が口腔乾燥を訴えていました。
歯が残っている方が多く、比較的口腔衛生状態は良好なのですが、中には磨き残しがかなりある方もいました。ほぼすべての方にフッ素洗口をお勧めし、口腔乾燥用のスプレーの処方を出しました。また、必要に応じてクロルヘキシジンをお勧めしていました。元気な棟の検診時についてきてくれたスタッフの方はかなり熱心に口腔状態を気にしてくれる方で、入居者さんの状態をかなり把握しており私たちがアドバイスをするたびにメモをし、『じゃあここを改善しておきますね』とすぐに動いてくれる方でした。衛生士さんも、熱心なスタッフさんとなら本当にやりやすいんだけど。。。と言っていました。

衛生士さんの言っている意味は、寝たきりの方や状態の悪い方が住んでいる病棟に行ったときに判明することになります。
こちらの棟は、脳梗塞などで日常生活に介助が必要な方や思い心臓病などで管理が必要な方、パーキンソンの方などが住んでいました。
スタッフの方がまず、スウェーデン語がかなり怪しく『あれ・・』と思いましたが、検診を開始しました。
大多数の方の口腔清掃状態は著しく悪化しており、明らかにケアができていないということがわかりました。1人目は脳梗塞により麻痺があり、さらに母国語しかわからなくなってしまった方だったのですが、口腔ケアの仕方をスタッフに伺ったところ『ご自分でとっても上手に磨けていますよ』とのこと。
『え!こんなにプラークや食物残差がべったりなのに??』と驚きました。

スタッフの方によると、彼はとても上手に歯磨きできている。(片麻痺なのに?)
電動歯ブラシを使っているから問題ない(毛先がこれでもかっていうほど開いていました。)
フッ素のジェルなどは使用していない
とのことです。
スタッフは口腔内をおそらくあまり見ていないのではないかと思います。
衛生士さんと私たちできちんと口腔内をチェックし、磨き残しがかなりあるのでお手伝いをしたほうがいいこと(もちろん入居者さんによっては嫌がるかもですが。。。)フッ素を使うこと。歯ブラシを取り換えることを説明しましたが、スタッフは『でもきちんと磨けてるのに・・・』や『自分で磨くのが好きなのに・・・』とあまり改善する気がないように思いました。
もう一人、印象に残った方がいます。
彼はベッドで過ごすことが多いようでしたが意識はしっかりしておりなかなか元気な方で、おしゃべりが大好きな感じのいい人でした。机には本や辞書が並べてあり、物知りな方で日本にも少し縁がありいろいろなことを話してくれました。
なかなかおしゃべりが止まらなかったのですが、驚いたのがスタッフの方が割と大きい声で『この人いつも話が終わらないのよ、聞かなくていいから早くすすめてください。』と感じ悪く言ったことです。
これにはみんな顔を見合わせてしまいました。
彼は甘いものが大好きで、お菓子やジュース、コーラがたっくさんお部屋に常備されていました。一応指導して、フッ素の処方箋を出すことになったのですが(そもそも前にもフッ素を処方したのですが、使い終わってからの容器がずっと置いてありました。)
スタッフの方は『彼は甘いものずっと食べてるから全然だめなのよ』とあきらめ気味。そりゃ忙しいのもわかるけど、何もそんなことを目の前で言わなくても・・・
というかあなた、口の中に全然興味ないでしょ?という態度になんだかがっかりしてしまいました。
全体的に、口腔ケアが自分でできない患者さんもそのまま放置されているという印象でした。

検診が終わりフィードバックの時、衛生士さんが『協力してくれる熱心なスタッフと一緒に働ければいいんだけど、なかなかそうはいかない・・・忙しいのはわかるけれど、もう少し何とかならないのかと思うときはある。それから、代理で働いていたりたまに来て働くスタッフ(Timmisといいます)もたくさんいるので引継ぎがうまく行っていないときもある・・・』とぼやいていました。そんなたまに来るTimmis達のために、各入居者さんたちの口腔ケアの仕方が洗面台のところに貼ってあるのですが、まぁ見ていない人も多いのよねと言っていました。

今回一緒に回ったスタッフのような方ばかりではないと思いますが(元気な棟のスタッフさんはとっても良い人だったので)運が悪いとこういうスタッフにあたる可能性もあるのかと少し怖くなりました。

でも、面白かったのが、別の日に検診に行った中国人の子が『あんなに手厚くもてなしてくれるんだったらスウェーデンで老後を迎えたい!』と感動していたので、きっと私が行ったときに運悪く対応が悪いスタッフにあたってしまっただけと考えるようにしたいと思います・・・

義理の妹が先日老人ホームのチーフになったと言っていたのでまた色々聞いてみたいと思います!

スウェーデンの歯科の意識・・・

大学が終わり、先日Sosに書類を送ったので現在免許が来るのを待っています。
2週間かかるとのことだったのでちょうど両親がスウェーデンに来る頃に免許が取れるのではないかと期待しています。

新しい職場に3回ほど、カルテのシステムを習いに行ってきました。
もうすでに患者さんがちらほらと予約されており、しかもすべてエンドのケースでした!エンドのハンズオンのセミナーも予約されていたので、国民歯科では一般歯科もやりつつエンドのケースを担当する係になるのではないかと期待しています。(専門医ではないですが、Nischad tandläkareといって得意な分野や興味のある分野を担当する係があります。外科のニッシュ、補綴のニッシュ、エンドニッシュなどがあり、ニッシュの先生はニッシュ教育に参加したりできます。)

スウェーデンはカルテは全て電子化されており、国民歯科ではT4というシステム、カロリンスカではOpusというシステムが使われています。(ほかにも色々なシステムがあります。)
スウェーデンで一番初めに使ったのはT4だったのですが、大学に入りOpusシステムにすっかり慣れてきたところでまたT4に逆戻りです。T4はグラフィックがきれいですが結構複雑でわかりにくいところもあり、Opusは割とシンプルですが融通が利かないところがあります。

どのカルテシステムも、保険庁とつながっておりカルテに治療と状態の番号を入力すると患者さんの支払う料金が出てきます。
組み合わせられない治療や状態があるので、間違った組み合わせをすると保険庁が承認してくれず、患者さんに請求することができなくなります。

ということで、組み合わせられない治療や状態、治療・状態の番号をなんとなく覚えなければいけないのがこれから苦労するところだろうと予想されます。
全ての処置が結構値が張るので、患者さんへの説明がかなり大切になってくると思いますが、カルテシステムの教育中に、教育係の衛生士さんから色々なアドバイスをされました。

私が大学病院で働いていた時、エンドの治療は何時間かけても再診と洗浄しかとれない・・・なんてこともままあり、ものすごい安い金額で治療をしていました。
おかげで、自分の治療ややっていることに値段が発生するという感覚を失いかけていたように思います。そのため、基本の検診に1万円近くかかる(割引がありますが)というスウェーデンの値段設定に気が引けます・・・。さらに、例えば1本の痛みがある歯なんかを詳しく診察する場合には、基本の検診に加えて補完の検査という処置がとれます。それも5千円近くします。なので、良心的すぎる先生は1本だけだから・・・といっておまけしてあげて、基本の検診代だけでチェックしてあげることがあるようなのですが、教育係の衛生士さんに『やった処置はきちんととる!そういう癖を最初からつけておかないと、これから一生おまけし続けることになる。私たちのやっていることにはお金が発生しているのを自覚すべし。時間にも価値がある。1本の歯だからと言っておまけしても、その歯の検査に10分かけているのなら10分タダ働きしているのと同じ』と言われました。

それでも『でもたったの10分だし・・・日本では処置が安かったからやっぱり罪悪感が・・・』と言ってしまったのですが、衛生士さんに『スウェーデンの患者さんは、歯科治療が高いことに慣れている。きちんと説明すれば納得するし、みんなお金を払うこと前提に歯科医院に来ているんだよ』と言われました。

改めて、日本の治療の安さに悲しくなりました。
みんなが安く、いろいろな治療を受けられるのは良いのかもしれませんが、6年も勉強し厳しい国家試験を乗り越えて研修までこなした先生たちの治療の価値があまりにも低すぎないでしょうか・・・
それで、患者さんに自費の治療を勧めたりすると『あの歯医者は金もうけばかりしようとしている・・・』なんて言われたりしますよね・・・。
治療の点数が低いので、患者さんを数見なければ食べていけなくなり、10分15分でエンドや形成をしたりしなければいけなくなり、ラバーダムも使えずぶん回すしかなくなる・・・そして再治療が必要になる・・・
それが本来の歯科治療のあるべき姿なのか疑問です。
そんな短時間で歯周病の基本治療をきちんとおこない、評価し、患者さんのモチベーションを上げ、適切なエンドや補綴物を入れる・・・なんてことがきちんとできるのでしょうか・・・。

スウェーデンにももちろん問題はたっくさんありますが、15分でぶん回しているような医院は国民歯科ではみたことがありません。(もちろんずるしまくっている先生だって結構いるみたいですが。。。)

今まで、スウェーデンで患者さんを診てきて思ったのは、みなさん歯周病や虫歯は自分でケアすれば防げるもので、虫歯や歯周病になってしまったのは自分のせい。なので高い治療費を払うことになっているのは自分のせい・・・という意識を持っているかたが多いということです。少なくともストックホルムのまぁまぁ経済的に安定している地域ではのことですが。
治療費が高いからこそ、みんな歯は歯肉は大切だと思っているようだし、定期的に歯科医院にくる方が多いです。
そりゃあ虫歯になってもエンドが必要になっても、数千円で治療が受けられるのであれば必死になって予防しようとは思わないのではないかと思います・・・。

こっちは歯科医師が不足しており予約を取るのも難しいため、日本のようにとりあえずどこかに駆け込めば診てもらえるというわけにはいきません。そのため、ここで歯が痛くなると、1、すぐに時間が取れないので待たなければいけない 2、時間の融通が利かないので仕事を休まなければいけないかもしれない 3、高額・・・というようないろいろな弊害が出てきてしまいます。

歯科・医科に日本のように気軽にかかれないからこそ、予防が発達しているのかもしれないなと思いました。みなさん、歯が欠けたり痛みが出ることが日本に比べるとずっと深刻な事態なのかもしれません。

今回も小話になってしまいましたが、これから抗生剤の話、子供の矯正の話(全員が無料で受けられるわけではないんです)、老人ホームに歯科検診に行った話、歯科ガイドラインの話などを書きたいと思います!
モチベーションを上げなければ!頑張ります!!!

KUT卒業しました!

先週金曜日に、KUT卒業しました!

KUTの授業などで書きたいことはたくさんあったのですが、5月になりテスト・プレゼンラッシュになってしまったためにブログを更新する間もなく卒業してしまいました。(下書きには書きかけの記事がたまっています…)

今はSos(厚生労働省)に免許を申し込んだので歯科医師免許を待っている段階です。ついにここまで来ました!
スウェーデンに引っ越してきて2年と3ヵ月ちょっと。やっと第一の目標を達成できそうです。
来た当初は、自分が次の日に何をするのかも分からずいつ免許を取得するかも全く分からない状況で不安でいっぱいでした。引っ越し前に日本で友達や家族から『どういう予定なの?』と聞かれても、自分でも1週間・1か月後に何をしているのかわからなかったので答えることができませんでした。
しかし運よくとても良い語学学校に通うことができ、そのつながりで国民歯科で研修もさせてもらい、無事にコースに通うことができました。本当に運がよかったと感じています!

コースを振り返ってみると、私のような経験のあまりない者はKUTに通うことができて本当に良かったと改めて感じています。国家試験の道を進んだ外国人歯科医師とKUTを卒業した外国人歯科医師とでは知識ややり方に差が出るように思います。もちろん、国家試験の道も研修施設によっては素晴らしいことを学べるとは思いますがKUTではカロリンスカ大学の学生が学ぶ事を一通り知ることができたし、臨床もたっぷり時間が取れカルテの書き方などきちんと学べたし、カリエス・エンド・補綴の専門の先生が付きっ切りで教えてくれたし、先生や学生たちとのつながりもでき、将来の選択肢も広がりました。学生が治療できない少し難しいケースが回ってくることが多かったのですが、先生のサポートをしっかり受けながら治療していくことができたので学ぶことが多かったです。
システムも学べたし、老人ホームへの見学などもあったし、小児・矯正の実習も充実していて、いきなり歯科医院で研修していたら絶対にできなかった経験ができました。

いきなり臨床現場へ出ていたら、常に時間との闘いでお金も稼がなければいけないし、こんなにきちんと基礎からスタンダードなことを学ぶことはなかったと思います。以前国家試験を通ってきた先生方と働いていましたが、システムに関して、さらには小児矯正に関して、治療に関してスウェーデンの大学を出た先生たとなんとなく知識に差があるような違和感がありましたが、自分がコースに行ってみてその理由がわかりました。たった1年のコースでしたが、こちらのやり方や考え方を教え込まれたように思います。

コースももう10年目くらいで、毎年改善されてきた上に選抜方法もかなり厳しくなったために今ではかなりしっかりしたコース内容になっていると思います。職を探す時も『KUT』といえばだいたいの人がわかってくれ、みんな『あんなに入るのが難しいコースを潜り抜けてきたのね』と評価も高かったです。おかげで開業する人を除いたクラスの全員が何も苦労することなく職が決まりました。

患者さんがみんないい人たちで、私のイマイチなスウェーデン語でも理解してくれたくさん質問してくれ良い関係を築くことができたと思います。
これを時間のない職場でどのようにしていくか、これから模索することになると思いますが、それは徐々に考えていきたいと思います!

ただ、色々な文化を背景に持つ15人が集まって勉強するので、それなりに文化の衝突やフラストレーションもありました。例えば、カンニング。1、2人、常にカンニングしている人がいました。その人たちはKUTの選抜試験からその後の試験すべてカンニング。手法は、テスト中にヒソヒソ話すというものすごいリスクの高い方法で(だからみんな知っていたのですが)でもアラビア語で答えを聞くので試験監督ははっきり何を話しているかはわかりません。それから、決まった2人がいつも試験中(2、3時間なのに)にトイレに2、3回行っていました。ケータイを持っていたのできっと確認していたのではないかと思います。みんなカンニングに関して本当に考えが緩く、全く問題に思っていないようでした。
さすがに私たちのグループ(アラビア語が話せない4人)が何回も先生にメールしたり試験中に訴えたのですが、学校側は何も対策をしてくれずにすごくもどかしかったです。後の会議で、これからはきちんと対策すると言っていましたがどうなることやら・・・。
それから、みんな授業に来ない。彼らはいつも、『授業にくる来ないは自分で選べる。もう母国で歯科医師なのだから』と言っており、ほとんど出ていなかった人も数人いたと思います。先生は短いコースなので授業は義務!と言っていましたがそういう文化から来ていないという口実で授業をさぼりまくっていました。
それから、授業をきちんと聞けない。なにかあると手も上げずにすぐに授業を中断し、大きい声で自分の意見を話し始める。先生の発言を遮る。
これはもう当たり前すぎて最後のほうにはもう慣れましたが、本当に人が話しているときに被せて話してくるのには驚きました。
最後に一番違うと感じたのは、中国人の子と私を除いてみんな自信が過剰にあるということです。どこからそんなに自信が湧き出てくるのか不思議に思うほど自信にあふれていました。先生の指示が全く分からなかったのに自分の判断で全く違うものを技工所にオーダーしたり、勝手に色々なことをやったりして先生も頭を悩ませていることがありました。でも最後にはみんなわりと矯正されて、こちらのルティーンを守っていたようです。

私たちはずっと2つのグループに分かれて臨床をしており、私はグループ2に属していました。2はアラビア語が話せない人が過半数で、チリ人、イラン人、中国人、日本人、イラク人、そしてシリア人2人から構成されていましたのでみんなスウェーデン語を話していましたし、経験がわりとある歯科医師が集まっていたのでいつも穏やかでとてもいいグループでした。患者さんがキャンセルになると、ほかの人を手伝ったり、みんな一緒に協力して色々やっていました。
グループ1は全員がシリアから来ていて、常にアラビア語を話し、さらに経験のない若い歯科医師が多かったので常に競い合いストレスの多いグループでした。先生も、なんでグループ1はあんなに競い合っているのかしら・・・と嘆いていました。
たまにグループ1、2の合同の実習などがあると、グループ1の人たちが自分たちが全て1番に終わらせたいからといって走って器具をとったり私たちを押しのけて先生を呼びに行ったりしていました・・・。もう慣れましたがかなり嫌な思いもしました。いろいろな文化の人が一緒に働くとなると、こういう衝突は絶対に避けられないと思います。

でも卒業の日はみんな仲良く楽しく終わることができてよかったです!
(もう二度と関わりたくない人もいるけれど・・・)

終わりよければすべてよし!!です。

先生たちも、これからずっと私たちを頼って、将来研究や教えるためにカロリンスカに戻ってきてね!とエールを送ってくれました。

とりあえずは夏休みを楽しみたいと思います!

少し時間ができると思うので、頑張ってブログを更新していきたいと思います!

KUT開始時

KUT終了時

小児歯科が始まって・・・

小児歯科が始まり、子供の検診や治療をしています。

前にも記載しましたが、スウェーデンは3歳から2年おきに義務検診があり子供は必ず歯科に通わなければなりません。
子供は歯科治療が無料なので、カロリンスカ大学やFTVは代わりに国からお金をもらうので2年おきに”検診をした”ということを報告しなければなりません。
カロリンスカの小児歯科では1歳児から保護者への指導などを部屋に集めて行っています。
私たちが担当しているのはその義務検診やリスクが高い子供への検診、歯の萌出や歯並びのコントロール、そして検診時に見つけたカリエスの治療です。

日本にいる時から子供はすごく好きだったのですが、なかなか治療がうまく行かないこともあり少し苦手意識がありました。
泣かれてしまったり、叫ばれてしまったり・・・でも、こちらで検査や治療をしているとなかなか協力的な子が多く小児が好きになってきました。

最初はスウェーデン語で子供と話すなんで絶対できないと思っていましたが、子供と話すほうが正直楽です。何故なら、子供はあまり難しい単語を使いませんし、私が言ったことがわからないとストレートにわからないと言ってくれるからです。
そっちのほうが私にはありがたいと感じています。

スウェーデンの小児歯科は日本の小児歯科と比べて結構違いがあると感じています。
面白いかったのが、ある日先生から『日本では子供を押さえつけて治療するんでしょ!?ネットにぐるぐる巻きにされてヘルメットみたいなのをかぶらさせられて治療しているというのを、日本から来た先生に当たり前のように見せられてとっても驚いたんだけど本当なの!?』と聞かれました。

ヘルメットはわかりませんが、それはレストレーナーのことだったようです。
治療に協力的でない子供や障害を持つ子供などに安全に治療を受けてもらえるように日本の小児歯科や障がい者歯科で使われているものですが、私も手が出てしまったり動いてしまうような子供のけがを防ぐためには有用なのではないかと思っていました。レストレーナーを使わないにしても、歯科医院のスタッフが数人で抑えて治療するような場面は見たことがあります。

こちらでは一切使われていないとのことで、小児科の先生に『暴れてしまう子供や障害を持つ子供、治療に協力できない子供たちはどうやって対応するのですか?』と聞いたところ以下の回答をもらいました。
1、だいたいの子供はTell Show Doでゆっくり慣らしていけばうまく治療できる
2、不随運動などがあったり協力できない子には押さえつけでなくビーンバッグに座らせると安定して安心するので治療できるようになることが多い
3、保護者に抑えてもらうこともある。
4、それでもだめなら鎮静(ミダゾラムを経口か経腸)
5、それでもだめなら全麻(毎週月曜日、1日2,3症例。なんと1年待ち・・・)
という流れだそうです。

ここでは歯科治療を子供に受けさせるのは保護者の責任であり、歯科医師の責任は適切な検診・治療の提供。そのため、必要に応じて抑えるのは保護者の仕事であり、医療従事者がレストレーナーを使って抑えるものではないということを強調していました。文化の違いなのよ、と。

Tell Show Doの大切さは、今身をもって痛感しています。
本当にできるようになる子が多くて!!
この前来た4歳の子供も、最初は怖くてお母さんの膝から降りようとしなかったし口もあけられませんでしたが、きちんとミラー・探針・ユニット・バキューム・3ウェイシリンジさらにはゴム手袋を見せて触らせて、水や風を出してもらい、ランプを自分でつけてもらったりして徐々に慣らしていきました。口腔内を見る際も、何かを行う前に必ず説明して1段階ずつ丁寧にすすめていきました。
探針を使う際にはまず爪にあてて、その後に『歯にあいさつするからお口ワニさんみたいに開いてね』と言って挨拶しながら歯数をチェックしプラークを見ていきました。フッ化物塗布までうまくできたのですが、残念ながらカリエスがあったので治療の必要がありました。
もう1度時間を取り、今度は削るためのTell Show Doです。
2回目は自分からユニットに座り、大きく口をあけてくれました。お母さんから『この前とっても上手にできたからってすっごく誇らしげに帰ってきて、いまだに歯医者さんからもらったシールを飾ってるんですよ!歯医者さんが好きになったみたい!』と言われたのでとても嬉しくなりました。
ワニのぬいぐるみ”クロコちゃん”を使って、パワードライブを用い患者さんにボタンを押してもらいました。そしてグラスアイオノマーを詰めるところまで見せました。
こうやってすべて見せることで子供も心の準備ができるし、安心して治療が受けられるようになるのかもしれないと思いました。

麻酔の感覚に驚いて怖くなってしまう子供もいるのでそこは難しいのですが、うまく行くケースは本当に多いような気がしています。

それから、かなり注意して言われるのは『子供にまず話しかけること』です。私も子供を待合室に迎えに行くときには必ず保護者より先に子供に握手し、自己紹介します。そして、問診するときも絶対に初めに子供に聞くようにしています。
『元気かな?』と聞いた後にあくまで補足として(問診に書くのはこっちがメインですが)保護者に『大きな病気やアレルギーはないですか』と確認しています。
保護者はあくまでも補足してくれる存在で、治療や検診の中心は子供だからです。
ちょっとやりすぎかな・・・なんて思うこともありますが、保護者の方も慣れているのでうまくやってくれます。
(ただし文化が違う家族などでは『子供はわからないんだから保護者に聞いてくれ、時間がかかる』みたいに怒った方もいますが、それは稀です。)

小さいころからこのような経験をしている子供は歯科に対して恐怖心を抱きにくく、ポジティブなイメージをもってくれるとのことです。
そうすれば大人になっても検診に来てくれるし、もし治療が必要になってもそこまで『歯医者さん行きたくない・・・』とはならないのではないでしょうか。

カリエス治療のほとんどにおいて麻酔が推奨されています。
私たちが削ると判断した歯は、治療に痛みが伴うことが多いからだそうです・・・
10歳以下では麻酔の有無の判断が自分でできないので必ず麻酔を、それ以上なら様子を見ながら・・・とのことです。
こっちは子供にも伝達麻酔を普通に使用します。治療中に痛みを感じさせることが何よりも悪いとされているようです。
ただし、乳歯のオープンになっているカリエスであればカリソルブやパワードライブ・ハンドエキスカを使用して無麻酔での治療も可能です。
パワードライブは自分でボタンを押してもらうので、ゲーム感覚で楽しいみたいです。

検診で調べることはココに記載してあります!
補足としては、3歳の検診では夜にミルクなどを飲んでいるかどうかの確認です。それはリスクなので、きちんと説明して辞めるように指導します。
ちなみに去年の夏ごろに小児について書いていましたが、少しは私にも心境の変化があったのでしょうか・・・
(日本では)小児歯科の実習中に、やるときは泣いてても覚悟を決めて治療する!こっちが弱い態度を取っていたら子供も覚悟ができなくて泣いてしまう、と言われたことがあったので、タイミングを見てぱっと治療するようにしていました。
なのでスウェーデンの、嫌がったらすぐに中断し子供に語り掛け説得するスタイルはなかなか慣れません。
『あーあー、余計泣かせちゃってるよ』と思うこともしばしば。。。
こんなことを書いていましたが、いまではすっかりスウェーデンの考え方に慣れてきたんでしょうね・・・嫌がったら中断して子供に語り掛けるの、すっかり慣れてしまいました。
なんだか自分の心境の変化を見られるのもこのブログをやっていてよかったと思う点です。
日本で育った私は、性別や年齢でできることは変わってくるんだからもっと臨機応変に対応すればいいのになぁなんて思うこともありますけどね。ここだけの話・・・“と最後にコメントしていますが、おそらくスウェーデンはスウェーデンで臨機応変に対応した結果、今のようになっているのかななんて思っています。どっちがいいか悪いかは全く言えません。でも、これがそれぞれの国の文化というものなんだと痛感しています。

でも、ちょっと悲しいと思うのは、子供は治療がタダということは子供1人に予算があってそれを超える治療は医院の持ち出しになってしまうようなので(自費でやる方法もあるようですが、詳しくは知りません。とにかく手続きが面倒くさいとのこと。)必要最低限の治療しかできないケースがあるということです。
例えばカリエスがたくさんあって、乳歯が抜歯になってしまうような子供には予算をカリエスの処置と抜歯で使い切ってしまうために保隙ができずそのまま・・・永久歯が変な場所に生えてきて矯正が必要になる、なんてことが多々あります。
確かそれも地域によってシステムが違い、オレブロという場所では結構保隙や咬合誘導に力を入れているなんて話も聞きますがストックホルムではほぼ保隙は行われていないと思います。
乳歯のエンドは一切行われず、大きな虫歯はほぼ即抜歯になります。エンドしてとりあえずスペース確保に~なんてことはなかなかできないようです。
これも予算の問題が大きく絡んでいるようです。

タダで受けられる、ということはその分我慢しなければいけないこともでてきてしまうということみたいです。小児専門の先生は嘆いていました。

それから、最近の歯科新聞で研究者のCさんが『最近の研究で、2014年にはハイリスクの子供の予防処置に平均29分・リスクが低い子供の予防処置に平均13分の時間がとられている。これは時間的に問題がないと考えられるが、リスクの低い子供には歯科医師が介入する必要があるのかと疑問を投げかけている。リスクが低い子供は衛生士・助手に任せて、歯科医師が介入しなくてもいいのでは。時間をもっと効率的に使うほうがいい。』とコメントしており、さらに、リスクの低い子供は2年ごとの検診は必要なくもっと検診の間隔を長くしてもいいのでは、との見解を述べていました。健康な子はどうせ虫歯にならないから見なくていいわ!ってことなんでしょうか・・・。
スウェーデンでは衛生士さんはカリエス・ペリオの診断が独立して行えるためにこのような提案ができるのだと思います。
これからスウェーデンはよりシステマティックになり、無駄が省かれ、分業化されていくのかななんて思いました。このシステムはほとんどの人口は救えるけれど、1部の急にカリエスになってしまう例は目をつぶる・・・なんてことになるんですよね。スウェーデンらしい考えです。
日本は歯科医師の責任がスウェーデンよりも重く、治療や検診の最後には必ず歯科医師が登場しチェックしているイメージですが、こちらは歯科衛生士さんでも独立して診断できるので歯科医師が介入しなくても大丈夫なようです。
この考え方にもものすごく慣れませんが、きっとまたそれが当たり前になっていくのでしょうか・・・

まだまだ不安なことだらけですが、少しずつ少しずつシステムに慣れていきたいと思います。
常に葛藤し揺れ動き、変化していく移民歯科医師の気持ちは、これからどうなっていくのでしょう・・・。

今、猛烈にアイデンティが迷子になっています!

さて、最後に小児で使われるビーンバッグとワニのクロコちゃんの写真を載せて終わりにしたいと思います。

ビーンバッグ。これにくるまって座ります。


ワニのクロコちゃん達。