スウェーデンの良いシステム

お久しぶりです!

夏休みのバイトが終わり、8月初旬~中旬は日本に一時帰国していました。
日本は蒸し暑かったですがご飯が美味しく、道もきれいで今まで当たり前だと思っていたことにいちいち感動してしまいました。

さて、日本ではよく北欧式〇〇がすごい、とか北欧流〇〇を見習おうといった本、セミナーの宣伝を見かけることがありました。電車の中の広告にもありました。
さらに、北欧には認知症寝たきりの老人がいない、医療費が全部タダ。
ゆりかごから墓場までケアしてくれる。鬱が少なく幸福度が高いなどという話が飛び交っているのをたまに耳にします。
そのたびに、『私の主人のおばあちゃんは認知症で寝たきりなんだけどな・・・そもそもそういう人が多いから介護職も足りていないし』とか『医療費タダじゃないし、歯科なんてとんでもなく高額・・・』、『鬱も自殺も多いし・・・』なんて突っ込みをいれています。

歯科界でも、”スウェーデン式の歯科は素晴らしい”と思う風潮が若干あるように感じられますが、果たしてそれはどこまで信用できる情報の上での判断なのでしょう。

もちろん見習うべきところもたくさんあるし、システムは素晴らしいと思いますが
いろいろと日本にはない問題があるのを感じています。
私もスウェーデンは素晴らしい!という先入観をもって引っ越してきたので日々そのイメージが崩れるのを感じています(もちろん素晴らしいと思うことだってあります!)。
完璧な国なんてないし、日本には日本の、スウェーデンにはスウェーデンのいいところがたくさんあるのでそういうのをうまくミックスさせられればいいのになと思います。

スウェーデンの問題点などは私もまだ表面上しか見られていないのでこれからいろいろなことを経験してから書いていこうと思いますが、今回はいいなと思うシステムについて紹介したいと思います。

それは、前回の記事にも書きましたが3歳から21歳(再来年には23歳まで引き上げられる予定)2年おきに子供の義務検診があることです。

義務って言ったってどっやって管理するんだよ、と思うかもしれませんが
管理が可能になる要因としては
国が運営する歯科があること
それから
人の所在が把握しやすい(ネットで名前を引くと住所・電話番号が見られます。)
あとは
国民がみんなパーソナルナンバーで管理されている。
こんなところだと思います。
日本では国民歯科に替わる歯科がないし歯科医院がたくさんあるので患者さんの取り合いになってしまう可能性もありますし、子供全体の把握は難しいのではないでしょうか。

スウェーデンでは生まれるか、居住ビザ(すべての人ではありませんが)をもらうとパーソナルナンバーがもらえ、生涯にわたってその番号を使用したり、その番号で管理されたりします。
こういうパーソナルナンバーのシステムが整っているからこそできることかもしれません。
これで人の管理が簡単になります。

スウェーデンでは子供が生まれると助産師さんが税務署に書類を送り、子供は母親の戸籍に登録されます。
ストックホルムでは子供が3歳になると(またはストックホルムに新たに引っ越してくると)子供の住むコミューンの国民歯科が子供あてに歯科検診のパンフレットを送ります。(コミューンにはだいたい数か所国民歯科があるので、一番近い国民歯科が送っているようです。)
検診は国民歯科に行っても、プライベートの歯科に行ってもいいのですがプライベートに行く場合はきちんと電話してプライベートに行くことを国民歯科に伝えなければなりません。
つまり、ストックホルムは(おそらく他の県もですが)子供全員をきちんと把握して、どこの歯科医院で検診を受けるか、またはきちんと検診を受けているかをチェックしています。

だいたいは国民歯科がSMSか手紙を送り検診の日にちを決めて保護者や本人にお知らせします。
ほとんどの子供は来院するのですが、ケータイ番号が登録された番号と違って連絡がいかずに来院されない場合もあります。そんな時はネットで番号をチェックしてかけなおしたり、手紙を送ります。とにかく子供がなぜ検診を受けないのか、どこにいるのかを把握する必要があります。

さて、前回も書いたように子供の義務検診は3, 5, 7 9, 11, 13, 15, 17, 19, 21, (23)歳で行われますがその項目をざっと紹介したいと思います。

まず3歳。
3歳児はまだ乳歯が生えそろっておらず、さらには口の中を見ることでさえ嫌がる場合も結構あるので保護者におしゃぶりの使用状況や食事の状況、歯磨き状況を聞き
口腔内をざっとみて歯の登録をします。
ぱっとみた段階でカリエスがあったりプラークが厚く残っているような場合はレントゲンを撮ることもありますが、だいたいはレントゲンはとりません。
リスクのある子をピックアップし、保護者にきちんと子供の歯を磨くように指導するのが目的になっています。

5歳は乳歯がそろっているので咬合関係に異常がないか調べ、悪癖があるならやめるよう指導します。
指しゃぶりやおしゃぶりがある場合は、12-22、42-32、すべての6が萌出する前に辞めてもらいます。前歯部にクロスバイトがある場合は削ったりします。
ここでもBWはほぼ撮影しませんが、何かあれば必要に応じて2枚撮影します。
ここでも口腔衛生指導を行い、水・休憩・フッ素の大切さを伝えます。

7歳-9歳では6番と前歯部をチェックします。ここで咬合に異常がある場合は、毎年数回来てくれる矯正専門医に見せるかメールを送って質問します。
矯正専門医が来ると、その子供が矯正を受けるべきか受けないべきかを判断し
矯正するべきだと判断された場合は、国からお金をもらうことができます。
クロスバイトの場合は咬合誘導の必要性も判断します。
もちろんここでもカリエスのチェックをし、必要に応じでBWを撮影します。
そして口腔衛生指導を子供と保護者に行います。
9歳では上顎3を触診しなければいけません。
もし何も触れない場合はレントゲンを撮影し、3の位置を確認しなければいけません。
あまりにも近心に傾斜している場合などは2の歯根を吸収してしまう可能性があるのできちんと経過をみるか口外もしくは矯正専門医に照会します。

犬歯の位置異常の見落としによるトラブルはここ最近増えているらしく、チェックするように厳しく言われているのでみんなかなり注意してみています。

11歳では犬歯が出ているかのチェックや2級・過蓋咬合のチェック、カリエス、口腔衛生指導。
13歳では7の萌出を見ていきます。

15歳は臼歯の関係をチェックし、BWを2枚撮影しカリエスや歯槽骨の状態をチェック、さらには6の近心遠心のポケットを測ります。

17歳ではカリエス、ペリオのチェック。必要に応じて4枚のBWを撮影し、口腔衛生指導。

19、21歳はカリエス・ペリオに追加して親知らずの状態をチェックします。

このように各年齢においてチェックする項目がだいたい決まっていますし、電子カルテのシステムに最近ではチェック項目のひな型ができたので見落としにくくなっています。
リスクが高い子はもっと頻繁に歯科医院に来るように指導しますし、必要に応じてすぐに歯科医師・歯科衛生士の予約を入れ問題に対応することができます。(人手不足なので、忙しい先生だと予約は数か月後なんてこともあるんですけどね・・・)
何しろ義務なので子供が定期的に歯科医院に来ますし、日本のように歯科医院をあちこち変えて結局行かなくなるというのが起きにくい気がします。(もちろん国民歯科が嫌でプライベートに行く人もいますが、必ず誰かが口腔内を定期的にチェックしているというシステムは口腔内のトラブル回避に大きく貢献しているのではないでしょうか。)
咬合の傾向や衛生状況をずっと追ってみていけるので、リスクの把握がしやすく問題が見つかると割とすぐに対応できるのがスウェーデンの歯科のいいところだと思っています。

人口が少なく、番号で管理されることに慣れているスウェーデンだからできることなのかもしれません。

日本でも地域で子供をすべて見られるシステムができるようになるといいのですが。
マイナンバーもできたことですし、何とかうまく管理するシステムができればいいなと思います。

番号で管理されることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、
慣れてしまえば楽なものですよ!未だに自分の番号を覚えきれてないのですが。。。

Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

1 thought on “スウェーデンの良いシステム”

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