子供の扱い方!

スウェーデンの国民歯科で働いていると、子供と接する機会がかなり多いです。
特に検診や救急の外傷で子供ばっかりの日もあります。

そこで驚いたのが、スウェーデンの歯科医師の子供への対応。

カロリンスカ大学で学生が習っていること、実際に診療を見て、感じたことを書きたいと思います。
それから日本の対応や、他の国の子供への対応を外国人の先生や学生さんから聞く機会があったのそれも紹介したいと思います。

スウェーデンの歯医者さんは子供にめちゃくちゃ優しいです。
それは、子供に歯科恐怖症になってほしくないから。恐怖症になってしまうと、将来大人になってから歯科を避けるようになってしまう可能性が出てきてしまい、問題が大きくなりやすくなってしまいます。
歯科に悪いイメージを持ってしまうかどうかは始めの対応が肝心。なので初めて歯科にかかわる子供には特に気を使っている印象です。

例えば私が子供を治療していた時はもちろん優しい対応を心がけていましたが、
例えば少し泣いても嫌がっても、どうしても麻酔をしなければいけないときは覚悟を決めてするし、治療もしていました。(もちろんあまりにも泣き叫ぶ場合は中断ですけど。)
ところがスウェーデンでは子供が泣いたり嫌がると、すぐに中断そして説得・説得・説得。何度も説得して子供が納得するまで話します。
(こんなに難しい説明して5歳の子供わかるのかな・・・と思う時もたまにありますが。)
それでもダメな場合は、すぐ中断。別の日に鎮静下で治療を行います。

私が働いている国民歯科では沈静ができる先生が何人もいたので結構気軽に鎮静をかけていました。
鎮静は経口か経腸で、コースに数日通えばかけられるようです。
(静脈内鎮静は国民歯科ではやっていません。ちなみにスウェーデンでは歯科医師は全身麻酔はかけられません)

初めて歯科に来た子供にはだいたいInskolning(事前に教えること)を行います。
まず、部屋に入ってもらい歯科用ユニットを見せる。
座ってもらう。
イスが動くのを確認してもらう。
ミラー、ピンセットを見せる。
なぜ使うか説明する。
ミラーを口に入れる。
探針を爪にあてる。
探針を口に入れて咬合面を触診する。
3wayシリンジを確認してもらう。水と空気を手に出す。
子供にも触らせる。
タービン・ハンドピースを見せて確認してもらう。
なぜ使うか説明する。
タービンは音・ハンドピースは振動を事前に伝えておく。
タービンを回して見せる。
ハンドピースに研磨用のバーを付けて爪を磨く。
バキュームを見せる。手を吸う。口を吸う。
使う材料を見せて説明する。
麻酔の説明。
治療の手順の説明。

何度も見せて説明して、子供が理解したのを確認してから次のステップに進みます。
Tell, show, doを重視してます。

やっぱり麻酔で泣いてしまう子が多いのですが、
ここも子供に説明しながら励ましながらうっていきます。
先生は、蚊に刺されるくらいチクっとするよ!とよく説明していますが
これも良し悪しで、この前保護者の方に『前に蚊に刺されるくらいって言われたのにグサッとやられて、子供が歯医者さんはうそつきだ!とショックを受けて歯医者が嫌いになってしまった』といわれました。
きちんと結構痛いよと伝えてくれればよかったのに・・・と。
それを聞いて、『痛いなんて言ったら嫌がるのでは』とは思いましたがいろいろな子供がいるのでしょう。
スウェーデン語がまだまだ不安な私は子供によって対応を変えて言い方も変えるなんてまだまだ難しいのでものすごく不安になりました・・・。

最初のうちは、説明や治療にこーーーんなに時間とるんかい!と思っていましたが、
子供も納得すると次に進めるようでした。
ただやっぱり、泣いてしまう子は泣き叫びます。
一度興奮してしまうと何もしなくてもいたい!というようになるので、そうなってしまうと日を改めるか鎮静・・・となります。

説明はもちろん保護者にもしますが、主に子供と対話する形になります。
確かに治療中は子供の顔しか見ていない気がします。
ポーランドで勉強している学生さんが、
『ふつうは親に説明するだろ! 子供にばかり見せて説明する必要はあるのか』と言っていたので、ポーランドではどう教えているかを聞くと、子供は理解することがあまりできないから主に親御さんに説明するとのことでした。

ちなみにシリア人の子供がシリア人の先生に治療されていた時は、お父さんが頭を押さえつけて泣き叫ぶ子供を無理矢理治療していました。
お父さんも先生も割とハードなスタイルで面白かったです。
先生曰く、泣き叫んだら治療ができないからおさえる!ちょっと強引でも治療を終わらせたほうがいい。保護者もそれで納得するとのことでした。

日本はハードな先生もまだいますが、だいぶ子供と対話することに重きを置きはじめているのではないでしょうか。日本の小児歯科をもっと見ておけばよかったです!
小児歯科の実習中に、やるときは泣いてても覚悟を決めて治療する!こっちが弱い態度を取っていたら子供も覚悟ができなくて泣いてしまう、と言われたことがあったので、タイミングを見てぱっと治療するようにしていました。
なのでスウェーデンの、嫌がったらすぐに中断し子供に語り掛け説得するスタイルはなかなか慣れません。
『あーあー、余計泣かせちゃってるよ』と思うこともしばしば。。。

スウェーデンでは小さくても子供に考えさせて、子供に全部決めさせて、彼らの意見を尊重するんだなと思いました。
それはいいところも悪いところもあると思います。
一歩間違えれば子供の言いなりになってしまうのではないでしょうか。
私は子供を導くような意見も必要だと感じるからです。
(それが洗脳みたいで、主体性がなくなってしまうと思うのかもしれません。)

年齢、性別、人種に関係なく対等に扱うのがスウェーデンらしいです。
話はそれますが、ここでは男性でも女性でも平等に権利が認められ、同じ条件で働き、年をとっても職場では戦力とされます。実際に私の職場には78歳の女性歯科医師がいます。
平等な権利があるため、子供だから、女性だから、外国人だから、高齢だから・・・という言い訳は通じません。なのでみんな強くなっていくのでしょうね。
女性は本当に強いです、この国。日本で育った私は、性別や年齢でできることは変わってくるんだからもっと臨機応変に対応すればいいのになぁなんて思うこともありますけどね。ここだけの話・・・

まぁ郷に入っては郷に従え、これから私の気持ちがどう変化するのか楽しみです。

Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

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