気になった記事。

ネットで興味深いニュースを見つけました。

元の記事はこちら

記事の内容をざっと紹介すると
ストックホルムの国民歯科で、休憩中に母国語(スウェーデン語ではない)を話していたスタッフがボスから注意を受け、さらに『雰囲気を壊している』と言われたことに対してDiskrimineringsonbudsmannen(差別オンブズマン、以下DOと言って差別を受けたと感じた人が訴える政府機関です)に訴え、DOは
『国民歯科のポリシーとして、スウェーデン語が共通言語というのがあるがそれは仕事上のコミュニケーションを円滑にするためのポリシーなので、国民歯科内で母国語を話すのを禁止するのはやりすぎだ』という判決を下した、ということです。

私は国民歯科で働いていますが、”仕事中はスウェーデン語を話す!”ということは毎週のミーティングごとに厳しく言われていました。
国民歯科のポリシーとして基本的にスウェーデン語のみを話すこと。患者さんがスウェーデン語を話せないときはもちろん患者さんの母国語を話せるスタッフがその言葉を話すのは患者さんのためなのでOKだがそれは例外で、それ以外はスウェーデン語のみが話されるべき!
というのが私の働いている国民歯科での決まりであり、みんなが守っていることでした。
この決まりは私の職場では本当にきちんと守られておりすごく居心地がいいです。

なのでこのようなニュースを見て少し驚きました。

こんなニュース、日本では絶対にありえませんよね。
日本ではほとんどの人が日本語が母国語であり、職場にも日本語を話す人しかいなかったため私はこのような問題が起こりうるなど日本にいるときは考えたことがありませんでした。
今になって、大多数が同じ言葉・文化を持ち、そのためだいたい同じ倫理やモラル・道徳をもつ人々が暮らす社会で働くのがどんなに幸せなことだったかと痛感しています。(その分、足並みをそろえなければいけないので違う苦労はありますが)

スウェーデンは多民族国家。移民がものすごく多い国です。
文化も言葉もさまざまです。
特に今は大量に難民(自称難民含む)を入れたためにアラビア語を話す人が相当数います。

今通っているKUTも16人中12人がアラビア語が母国語の学生で、4人のみがアラビア語を話せないという状況ですが
昼食中・休憩中・さらには授業中のデスカッションまでスウェーデン語が話されることはほぼありません。私たち4人がその場にいてもそれはお構いなしです。

先生方がそれを見かねて、『コーヒーカップを持っていないときはスウェーデン語を話しましょうね!(休憩中以外はスウェーデン語話してね!)』と何度も言っているのですが、一向に改善されることがありません。

私たちも最初は『スウェーデン語話してよ!』と言っていたのですが、はじめ少しスウェーデン語を話したらすぐにアラビア語に切り替わってしまうので、そうすると全然わからずにものすごく居場所がない気分になります。

海外に住み、海外で活躍されている先生方はたくさんいらっしゃると思います。
留学されている場合はおそらく英語が共通言語になり、英語(もしくは母国語)を学ぶのが条件であり
周りの言っていることがわからないのは英語力が足りないから、スウェーデン語力が足りないからと悲しくなることはあるかもしれませんが
それは自分の努力次第で改善できる可能性があることだと思います。

しかし、スウェーデンに住みこちらで働くのに必須なスウェーデン語を学び
スウェーデン語を使って働くことができるようになったにも関わらず
この国の言葉とは全く関係のない言葉を周りが話すために理解できず悲しくなるのはなんとも言えない気持ちになります。私の努力次第ではどうすることもできないからです。スウェーデン語なんて話せるようになったって何にも言ってることわからないじゃないか!となります。

この『言葉がわからずどうしようもない』というのは本当に気まずい雰囲気で、とっても居心地が悪くなります。
話にもついていけないし、トーンによっては悪口を言われているかと不安になることすらあります。

日本人同士でスウェーデン語や英語を話すのは私も苦手ですが自分がこのような環境に置かれるようになってからこの気まずさをしり、気を付けるようになりました。

先日私の尊敬する日本の方と、友達のロシアの子とご飯を食べた時は
すごく恥ずかしかったけれどみんなでスウェーデン語を話しました。
これはマナーであり、周りへの気遣いです。

そういう点では、スウェーデン語が話せない人の前でぱっとみんな英語に切り替えてくれるスウェーデン人は本当にすごいと思います。

恥ずかしい気持ちもとてもわかるので、クラスメイトがアラビア語を話す気持ちも100%理解できますが、なるべくみんなのわかる言葉で話してほしいです。

この件について夫Aと話したところ、
スウェーデンに来てスウェーデン語が公共語の職場でスウェーデン語を話さないのはおかしいと思っているようです。
Aによると、スウェーデン人のなかでもこのように思っている人は結構いるけれど
何か移民のことについて意見するとすぐに『差別!レイシスト!』と騒ぐ人々がいるので誰も何も言えないのではないかとのことです。

スウェーデンではポリティカルコレクトネスにぐるぐるに縛られてしまい好きなことが言えない国になっている印象です。
(もちろん、人を傷つけるような言葉や本当の差別はNGですが、この移民のことを少しでも言うと差別だ!という雰囲気が漂うのはちょっとどうかと思います・・・)

ちなみに現在、9月にスウェーデンの歯科テストKunskapsprovで落ちてしまった受験者が、テストのあらを探して”証拠”を集め、テストを作ったカロリンスカは外国人歯科医師を差別しているいうことをDOに訴えようとしています。
カロリンスカの担当の先生に聞いたところ、今回のテストは合格者も多くとてもうまくいった!と言っていたので落ちた数十人が何とか勉強しないで免許をもらおうとしているのではないかと思います。落ちた受験者の言い分は、テストのシステムが悪い・採点の方法がおかしい・テスト合格の基準が高すぎる・イギリスの国家試験に受かったのにスウェーデンで落ちるのはおかしい・スウェーデンは外国人歯科医師が働くのを妨げようとしている・何度もテストを受けて全部落ちるテストはおかしい etc…といった感じです。
つっこみどころ満載で思わず苦笑してしまう内容ですが、これが”差別”と本当に訴えられる社会なんです、スウェーデン。
→これに関しての記事が歯科新聞に載りました。ただし、証拠不十分により、DOやSOSは相手にしていないようでした。

※訴えるのは自由ですが、それをDOなどの機関がチェックして却下されることも多くあります!

そもそも、テストはその人がスウェーデンで働くのに十分な能力を持っているかを測るものなので、合格基準を下げるというのはテストの趣旨から外れますし、今のシステムは前のシステムからだいぶ改善されて成功すれば早く免許が取れるようになったのでスウェーデンは外国人歯科医師に意地悪をしているわけではありません。

基準に満たない歯科医師を働かせるのは危険、というのは外国人歯科医師だけでなく全員に適用されます。
それを差別、だなんて。

書ききれない思いはたくさんありますが、本音を書いてしまうとポリコレを振りかざす人にレイシスト扱いされてしまうのでここまでにしておきます。

※最近このような記事をSNSに紹介してくれる人もいるようなのですが、
こういう記事を日本のヘイトスピーチや差別と絡めてゆがめた形で拡散されるのはとても不本意です。
このブログは私が日々スウェーデンで過ごして感じたことを綴っており、私が見ている世界の出来事ですので、かなり主観の意見が入っています。偏った意見になってしまっている可能性があり、私の意見はスウェーデン在住の方すべての意見とは一致しないことをご了承ください。

歯科の支援制度 Tandvårdsstöd

歯科の給付金・点数の取り方を習ったので少し説明したいと思います。
なかなか複雑で説明がわかりにくいところがあるかもしれませんがご了承ください・・・。

スウェーデンでは、日本のように国民皆保険制度がありません。
医療行為は無料のようですが、成人(今は22歳以上)の歯科医療は特別な場合を除いて無料ではありません。
ただし、Tandvårdsstödet(タンドヴォードススターデット,歯科医療援助)という国からの支援制度があります。


上の図の左側のように、”国からの支援”には3種類あります。
1、ATB (allmänt tandvårdsbidrag) 一般歯科給付
2、STB (särskilt tandvårdsbidrag) 特別歯科給付
3、Högkostnadsskydd 高額治療還付 (うまい日本語が思いつかなくてすみません・・・)
です。

まずは1のATBから。
これは、成人の定期健診と予防処置のための通院を奨励するための支援金で、
22歳から29歳までと、65歳以上は毎年300クローネ(約4000円)
30歳から64歳までは毎年150クローネ国からもらえます。
このお金は2年間持ち越せ、2年に1回通院する人は300クローネから600クローネ割引されます。
来年から、2倍になるかもしれず、そうすると1年に300クローネ・600クローネもらえることになります。

定期検診の参考価格が825クローネなので、例えば健康な30歳の人は2年に1回定期検診に行くとして600クローネ割引され、225クローネ(約3000円)で検診が受けられます。

2のSTBは例えば何らかの病気やハンディキャップで定期的な予防処置が必要となる患者さんに支払われます。
半年に1回、600クローネでこれはATBのようにためておくことができません。
この給付が使える処置は決まっており、101, 103, 111, 112, 113, 114, 161, 162, 201, 204, 205, 206, 311, 312, 313, 314, 321, 341, 342, 343の番号の処置に使えます。
(治療に番号がついており、電子カルテや支払いもすべてこの番号を入れると処置・お金が出てくるシステムになっています。処置内容はまた今度説明したいと思います!)
病気やハンディキャップは13項目あり、
1、薬の長期服用による口腔乾燥
2、顔面・口腔領域の放射線治療による口腔乾燥
3、シェーグレン症候群
4、閉塞性肺疾患のために酸素や経口栄養剤を使用している
5、嚢胞性線維症
6、潰瘍性大腸炎
7、クローン病
8、腸の機能不全(Tarmsvikt)
9、摂食障害や逆流性食道炎による酸蝕症
10、重度の糖尿病
11、透析を受けている
12、薬の影響で免疫不全
13、臓器移植を受けた

この13項目に当てはまる患者さんがSTBをもらえます。

3のHögkostnadsskyddでは治療が高額になったときに、スウェーデン社会保険庁から割引を受けられます。
治療は3000クローネまでは患者さんが100%負担します。
3000クローネ以上になると、3000クローネを超えた分の料金が50%になります。
15000クローネ以上になると、超えた分が85%になります。

つまり、4000クローネの治療を受けたとすると患者さんの負担は
3000+1000×0.5=3500クローネになります。
17000クローネの治療を受けた方は
3000+12000×0.5+2000×0.15=9300クローネ払うことになります。

このHögkostnadsskyddは治療開始後から12か月有効です。

さて、ここからかなり複雑になってしまうのですが
歯科の料金にはReferenspris(参考価格)と歯科医院が自分たちで定めた値段があり、料金表には2つの価格が表示されています。


StockholmのFolktandvården(国民歯科)より 料金表

参考価格はスウェーデン全国統一の、国に定められた料金です。
上のVårt prisというのは歯科医院個別の料金で、例えば国民歯科ならストックホルムランスティングで一律、プライベートなら例えば場所代や専門知識などによって自分たちで定められます。

このHögkostnadsskyddは固有の料金もしくは参考価格の安いほうを基準にして考えられます。
例えば、参考価格でCRが1歯1000クローネだとすると
患者さんはHögkostnadsskyddを受けるまでに3回CRをしなければなりません。
しかし、私が通っている歯科医院のCRの値段が1500クローネだとします。
そうなると、
CR3回の後からHögkostnadsskyddが受けられるようになります。
つまり、私は4500クローネを自腹で払いそれ以上になるとスウェーデン社会保険庁が50%負担してくれるようになります。
しかし、差額分の500クローネはHögkostnadsskyddが受けられないので

参考価格1000クローネでCRを5回受けるとトータルで
3000+2000×0.5=4000クローネなのに、
(保護なしだと3000×5=15000クローネ)

私が払うのは
4500+2000×0.5+500×2=6500クローネ払うことになります。
(ただしHögkostnadsskyddがないと4500×5=22500クローネ)

しかし私がCRを800クローネでやってくれる医院に行きCRを5回やったとすると
トータルが4000クローネで
3000+1000×0.5=3500クローネ払うことになります。

わかりにくいですね!

でも大丈夫です、歯科医院の電子カルテシステムにはKostnadsförslag(料金提案書)を自動的に計算してくれるプログラムが入っているので
治療内容を入力し自動的に出てきた料金を患者さんに見せるだけです!
しかし、何しろここは治療が高いので患者さんは何にどれくらい支払うのか結構気にされるため計算はできなくてもきちんと説明できるようになるのは大切だと思います。

残念ながらすべての治療でHögkostnadsskyddが受けられるわけではなく、
審美歯科・8の根管治療・8のクラウンはダメです。(8は場所にもよります。)
ブリッジ・インプラントに関しては細かい規定があるのでそれはまた今度・・・

英語のリンクです。
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現状・・・

毎日やることが多くへとへとになりながら過ごしています。
やっと週末です!

私たちKUTの担当の先生は、ものすごく頼りがいのある女性の先生で
いつも面白おかしく面倒を見てくれています。

実は親友の結婚式で日本に帰るのですが、行くかどうか悩んでいた時に
『絶対行きなさい!休んだ分の授業は私たちがなんとかするから!行かないと一生後悔するわよ!!』と背中を押してくれ、
行くと決心してメールを送ったら『楽しみね!帰ってきたら私たちがサポートするから心配しないで親友の晴れの日を祝ってきなさい!』となんとも頼もしい返事がきました。

そんな彼女が今日授業をしていろいろ歯科の現状を話してくれたのですが
私が働いていた国民歯科。
実はストックホルムの国民歯科は株式会社なんです。
説明しにくいのですが、県が最終的な権限を持ってはいるけれど、フォルクタンドヴォーデン株式会社に運営されているようです。
2000年までは国に運営されていたのですが、今では株式会社なので
運営するためにお金を稼がなければいけなくなってしまいました。
なので、1時間にいくら稼がなければいけないという決まりがあります。

日本で大学で働いていた時、もちろんお金は稼がなければいけないのですが
無駄遣いしなければ良い材料を使えるし、新しい材料も試せたし、時間をかけて患者さんを治療できるし、自分が満足できるまで患者さんに向き合えていました。

開業医の先生たちは、自分の医院を運営しなければならないし治療が相当安い日本では自分の医院を守るために、患者さんを多く入れ
泣く泣く少し治療時間を短縮したり、なんとか節約したりしなければならないこともあると思います。

なので、大学はそれほど経営のことを考えなくてよく、私のような新人が働くのに最高な場所でした。

スウェーデンも治療が高いし、ましてや『国民歯科』で公共なのだから少しは余裕があるのかと思っていました。

しかし・・・
働いたことがある人なら皆さん思うと思うのですが
国民歯科、お金に相当厳しいです。

ボスに稼いだお金のリストを見せられて、点数の取り方を細かくチェックされたり
やった分の点数はすべて取る(これは当たり前ですけど)、取れそうな点数はなるべくとる、と言われたり
そしてなにより、国民歯科が提供している歯科保険のセールスをするように相当口を酸っぱくして指導されます。

この保険はリスク1から10まで分かれており、リスクに応じて支払う金額が違うのですが、歯科の病気が現在ない(治療が終わっている)患者さんしかはいれません。
この保険料が運営の足しにされています。
毎週のミーティングで、保険の売上表を見せられてほかのクリニックと比較されたりします。

この保険についても後で説明したいと思っています。
賛否両論のシステムですが、私はあまりいいとは思えません。

とにかくお金を稼ぐこと、患者さんを回すことを考えなければいけないのはどの国でも同じようです。

さらに小児。
子供の治療のお金は国が支払っているらしいのですが、予算がどんどん減っているとのこと。なので、妥協的な治療をすることが増えてきたんだとか・・・
そこでずーーーーーっと疑問に思っていたことを今日、先生に聞いてみました。

スウェーデンは乳歯にエンドをしないので、エンドが必要な歯は抜歯します。
なので、5歳ぐらいでEが抜かれる子供も結構います。
日本では、乳歯を早期に喪失してしまったら永久歯が変な位置に生えないようにスペースを確保するように保隙装置を使っていました。
ここでは抜きっぱなしです。
クラスメイトと、抜きっぱなしで保隙しないでいいのかな・・・
そういうエビデンスがあるのかな・・・
と話していたのですが、答えは
『お金がないからやらないのよ。』とのこと。
私たちが
『え・・・お金だけの問題なんですか・・・?』
と聞くと、そう、とのこと。

医療がお金に支配されるのって、よくないですよね。

もちろん、開業されている先生方は運営のために稼ぐことを考えなければいけないし私のような経験の浅い歯科医師は世間知らずでそういうことが言えるのかもしれません。
ただ、お金のせいで患者さんに明らかに不利になることを見過ごすというのは
そもそも医療をしていることにならないんじゃないかと思ってしまいます。
しかも、スウェーデンで一番大きい国民歯科がお金のせいで100%の治療ができないなんて悲しすぎます。将来の問題をより大きくしているなんて間違っていると思います。

日本の保険制度を問題視する声もありますし、確かに安すぎるとは思いますが
治療費が高くなったって結局お金に支配されるのは変わらないみたいです。

スペースをお金のせいで確保できなくて、将来的にもっと問題が大きくなって矯正治療が必要になったらそれを払うのも国なのに・・・

県によってはいまだに県に運営されている国民歯科もあるようですし、
田舎のほうはまだきちんとした指導もあり余裕もあり、よりちゃんとした医療を提供できそうなので
KUTが終わった後に田舎に引っ越して少し働きたいという気持ちが強くなっています。
専門医にも、田舎のほうがなりやすいし、扱いも待遇もいいとのことです。

ただ、簡単には引っ越せないんですけどね・・・

でもストレスを抱えながらストックホルムで仕事をするなら、田舎で期間を決めてしっかり自分の理想に近い形で働くほうがいいのではないかと思っています。

悩みます・・・

将来どうなることやら・・・

IVO。Lex Maria。

仮封の話をする!と意気込んでいたのですが
たまたま今法律の授業ばかりを受けているので今回はそれについて紹介したいと思います。

スウェーデンで医療にかかわると必ず出てくるIVO、Lex Mariaを紹介したいと思います。
IVOはInspektionen(監査) för Vård(医療) och Omsorg(ケア)の略で、医療を監視する政府機関です。
例えば患者さんが歯科治療や歯科医師に不満だったり、間違った診断をされたと思ったらIVOに連絡します。ほかの業務もあるのですが、簡単に言うとIVOは医療の苦情窓口のようなところです。

日本では患者さんは苦情をどこに訴えればいいのかネットで調べてみたところ、歯科医師会だったり、相談センターだったり、弁護士だったりとイマイチきちんと定まっていないようでした。
私のイメージでは患者さんは医療に不満を覚えると『訴えるぞ!』といって弁護士さんに相談するケースや、苦情はあるけれどどこに訴えればいいかわからないので違う歯科医師に相談する、もしくは我慢して苦しんでいる・・・という感じでした。
苦情を訴える患者さんに対してモンスターペイシェント扱いする歯科医師や
それが怖くて何も言えない患者さんもたくさんいると思います。
そして残念ながら実際に歯科医師が最善を尽くしたとしても、思い込みや勘違いからなんでもかんでも苦情を言ったり訴えるぞと脅してくる患者さんも実在します。
なので、医療従事者・患者の間に入り客観的に判断してくれるIVOはありがたい(そしてちょっと恐ろしい)存在なのかなと思います。

基本的にIVOは
『医療機関がきちんとエビデンスに基づいた医療を行っているか』

『医療が安全に行われているか』
を監視しています。

歯科に関係する業務は
1、患者からの苦情の受付
2、医療従事者のコントロール
3、医療機関の業務や活動のコントロール
4、Lex Maria
の4つにわけられます。

患者さんからの苦情をうけた歯科医院は、カルテを開示し
きちんとカルテが書かれているか・レントゲン・医療行為が正しく行われていたかをIVOがチェックします。
カルテは、患者安全法・患者情報法によってきちんと記載されるべき内容が定められています。
もし患者さんが医療行為によって損害を受けた場合は、(国民歯科の場合は) LÖF(Landstingens Ömsesidiga Försäkringsbolag )という県の保険会社が患者さんにお金を支払ってくれるのですが、LÖFもカルテを確認して支払うべきなのかを見定めるのでカルテはとても大事です!

2の医療従事者のコントロールは、上記のように苦情を言われた医療スタッフや料金の取り方がおかしかったり、治療に偏りがある歯科医師が目を付けられチェックされます。
そのあとはHSANという”資格を持つ医療従事者”のための裁判所のような機関に送られ、免許はく奪・もしくは3年間のテスト期間の必要性や薬の処方の権利のはく奪などを判断されます。テスト期間中は、IVOの監視下で条件を満たすように仕事をしなければなりません。

ちなみに2017年に免許をはく奪された歯科医師は7人いるそうで、その例を見せてもらいましたがひどかったです。
正直、医療というより暴力に近いような治療でした。
7人の歯科医師がどこの国からいているのか、スウェーデン人歯科医師なのかという情報は教えてもらえませんでしたが、IVOで働いている方の講義でちらっと
『EUの他の国は全く基準が違うのにテストなしで働けるし、EU以外の国では健康な歯に予防と言って抜髄したりクラウンをかぶせるから・・・』とぼそっとつぶやいていたのでスウェーデンで教育を受けた歯科医師たちよりも外国人歯科医師のほうが多いのではないかという予想ができます。しかし真相はわかりません。

EUの国ではスウェーデンと全く違うモラルで働いていたり、抗生物質の使い方もまるで違うのにテストを受けずにいきなり免許が取れてしまうのでそれは良しあしだなと思います。
しかし、同じコースを受けているシリアの子たちは、歯科医師は神様扱い。お金も儲かるし、位が高い仕事だからいまだに患者さんよりも歯科医師のほうが立場が上で説明とかあんまりいらない!と授業中に言っていたので
歯科医師の立場がスウェーデンとまるっきり違うのにテストだけを受けていきなり働く人もいるということに少し不安を覚えました。
日本とスウェーデンは患者さんと歯科医師の立場が似ているので(中には患者様なんていう歯科医院もあるみたいですが、歯科医師過剰の昨今それはしょうがないのかもしれません・・・)私はモラルや倫理の授業を聞いていても日本の大学で習ったことと重なってやりやすいです。
学生時代に叩き込まれたインフォームドコンセント・共感的態度・治療の説明の仕方などは世界にも通用することだったんだとありがたく思います。
さらに、IVOの人に『日本の歯科の水準はすごく高いから問題ない』と言われたので嬉しかったです。

薬を処方する権利は、麻薬や依存性のある薬を自分に処方したり患者さんに過剰に処方してはく奪されてしまうようです。

3の医療機関の業務や活動のコントロールは、医療機関がきちんと衛生を保っているか、医療行為に必要な機械があるかなどをチェックされます。
例えば、オートクレーブがなければ衛生を保っているとは言えないし、レントゲンの機械がなければきちんとした診断ができません。そいいう場合には期間を定めて期間内に必要な道具や機器をそろえ、改善を示さなければなりません。
それができない場合は、器具を買うよりも高い罰金を支払うことになるそうです。

4のLex Maria(レックスマリア)は
医療従事者がなにかインシデントを起こしたときに医療機関自身がそれを通報することです。
これは法律で義務づけられています。
なぜLex Mariaというかというと、1936年にストックホルムのマリア病院で、スタッフが4人の患者さんに麻酔薬の代わりに間違って消毒薬を注射し、その4人の患者さんが亡くなってしまったのを病院自身が通報したことから来ています。
Lex MariaによってIVOに通報した医療機関は、調査され同じ過ちを繰り返さないようにIVOとともに医療機関内で対策を考えます。

書いていて思ったのですが、IVOは保健所と相談センターと厚生労働省がミックスされたような機関ですね。

管理体制がなかなかしっかりしているスウェーデンですが
このようなことができるのはやっぱり人口が少ないからなのでは・・と思わずにはいられません。

将来IVOとあまり関わらないように・・・気を付けたいと思います。