歯科の支援制度 Tandvårdsstöd

歯科の給付金・点数の取り方を習ったので少し説明したいと思います。
なかなか複雑で説明がわかりにくいところがあるかもしれませんがご了承ください・・・。

スウェーデンでは、日本のように国民皆保険制度がありません。
医療行為は無料のようですが、成人(今は22歳以上)の歯科医療は特別な場合を除いて無料ではありません。
ただし、Tandvårdsstödet(タンドヴォードススターデット,歯科医療援助)という国からの支援制度があります。


上の図の左側のように、”国からの支援”には3種類あります。
1、ATB (allmänt tandvårdsbidrag) 一般歯科給付
2、STB (särskilt tandvårdsbidrag) 特別歯科給付
3、Högkostnadsskydd 高額治療還付 (うまい日本語が思いつかなくてすみません・・・)
です。

まずは1のATBから。
これは、成人の定期健診と予防処置のための通院を奨励するための支援金で、
22歳から29歳までと、65歳以上は毎年300クローネ(約4000円)
30歳から64歳までは毎年150クローネ国からもらえます。
このお金は2年間持ち越せ、2年に1回通院する人は300クローネから600クローネ割引されます。
来年から、2倍になるかもしれず、そうすると1年に300クローネ・600クローネもらえることになります。

定期検診の参考価格が825クローネなので、例えば健康な30歳の人は2年に1回定期検診に行くとして600クローネ割引され、225クローネ(約3000円)で検診が受けられます。

2のSTBは例えば何らかの病気やハンディキャップで定期的な予防処置が必要となる患者さんに支払われます。
半年に1回、600クローネでこれはATBのようにためておくことができません。
この給付が使える処置は決まっており、101, 103, 111, 112, 113, 114, 161, 162, 201, 204, 205, 206, 311, 312, 313, 314, 321, 341, 342, 343の番号の処置に使えます。
(治療に番号がついており、電子カルテや支払いもすべてこの番号を入れると処置・お金が出てくるシステムになっています。処置内容はまた今度説明したいと思います!)
病気やハンディキャップは13項目あり、
1、薬の長期服用による口腔乾燥
2、顔面・口腔領域の放射線治療による口腔乾燥
3、シェーグレン症候群
4、閉塞性肺疾患のために酸素や経口栄養剤を使用している
5、嚢胞性線維症
6、潰瘍性大腸炎
7、クローン病
8、腸の機能不全(Tarmsvikt)
9、摂食障害や逆流性食道炎による酸蝕症
10、重度の糖尿病
11、透析を受けている
12、薬の影響で免疫不全
13、臓器移植を受けた

この13項目に当てはまる患者さんがSTBをもらえます。

3のHögkostnadsskyddでは治療が高額になったときに、スウェーデン社会保険庁から割引を受けられます。
治療は3000クローネまでは患者さんが100%負担します。
3000クローネ以上になると、3000クローネを超えた分の料金が50%になります。
15000クローネ以上になると、超えた分が85%になります。

つまり、4000クローネの治療を受けたとすると患者さんの負担は
3000+1000×0.5=3500クローネになります。
17000クローネの治療を受けた方は
3000+12000×0.5+2000×0.15=9300クローネ払うことになります。

このHögkostnadsskyddは治療開始後から12か月有効です。

さて、ここからかなり複雑になってしまうのですが
歯科の料金にはReferenspris(参考価格)と歯科医院が自分たちで定めた値段があり、料金表には2つの価格が表示されています。


StockholmのFolktandvården(国民歯科)より 料金表

参考価格はスウェーデン全国統一の、国に定められた料金です。
上のVårt prisというのは歯科医院個別の料金で、例えば国民歯科ならストックホルムランスティングで一律、プライベートなら例えば場所代や専門知識などによって自分たちで定められます。

このHögkostnadsskyddは固有の料金もしくは参考価格の安いほうを基準にして考えられます。
例えば、参考価格でCRが1歯1000クローネだとすると
患者さんはHögkostnadsskyddを受けるまでに3回CRをしなければなりません。
しかし、私が通っている歯科医院のCRの値段が1500クローネだとします。
そうなると、
CR3回の後からHögkostnadsskyddが受けられるようになります。
つまり、私は4500クローネを自腹で払いそれ以上になるとスウェーデン社会保険庁が50%負担してくれるようになります。
しかし、差額分の500クローネはHögkostnadsskyddが受けられないので

参考価格1000クローネでCRを5回受けるとトータルで
3000+2000×0.5=4000クローネなのに、
(保護なしだと3000×5=15000クローネ)

私が払うのは
4500+2000×0.5+500×2=6500クローネ払うことになります。
(ただしHögkostnadsskyddがないと4500×5=22500クローネ)

しかし私がCRを800クローネでやってくれる医院に行きCRを5回やったとすると
トータルが4000クローネで
3000+1000×0.5=3500クローネ払うことになります。

わかりにくいですね!

でも大丈夫です、歯科医院の電子カルテシステムにはKostnadsförslag(料金提案書)を自動的に計算してくれるプログラムが入っているので
治療内容を入力し自動的に出てきた料金を患者さんに見せるだけです!
しかし、何しろここは治療が高いので患者さんは何にどれくらい支払うのか結構気にされるため計算はできなくてもきちんと説明できるようになるのは大切だと思います。

残念ながらすべての治療でHögkostnadsskyddが受けられるわけではなく、
審美歯科・8の根管治療・8のクラウンはダメです。(8は場所にもよります。)
ブリッジ・インプラントに関しては細かい規定があるのでそれはまた今度・・・

英語のリンクです。
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Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

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