エンド後の仮封について。

お久しぶりです。
10月後半に親友の結婚式のため5日間という短い時間でしたが日本に帰国していました。
Finnairだったのですが、行きはJALの共同運航に、帰りはエコノミーコンフォート・ビジネスクラス(45分だけですが)にアップグレードされたのでとても快適な空の旅でした。

さすがJAL、ご飯がおいしくサービスも最高、さらにはトイレもなんとウォシュレット、窓はボタンで透過光量が変わるタイプのもので終始感動しっぱなしでした。(JALには十数年ぶりに乗りました。)
帰りも快適であっという間の9時間半で、飛行機恐怖症の私ですが、飛行機にいいイメージを持つことができました。
残念ながら直行便はないのですが、スウェーデンからフィンランドは45分くらいですしフィンランドから日本も9時間~9時間半ほどなので実は結構近いです。

日本とスウェーデンは遠い・・・なんてホームシックになるたびにメソメソしていましたが今回の旅で『いつでも帰れるし、そんなにつらくない距離・・・なんなら5日間だけでも結構楽しめる』と思えたので気が楽になりました。(問題はお金がかかることですが・・・)

さて、今回はエンド後の仮封について説明したいと思います。

エンド後の仮封は、私が働いていたところではだいたい
綿球→キャビトンもしくはキャビトンEX→場合によってグラスアイオノマー
でした。
キャビトンは水硬性セメントで酸化亜鉛 硫酸カルシウム 酢酸ビニル樹脂が原材料とのことです。
皆さんご存知のように、唾液や水分で硬化する使いやすい材料で私もエンドの治療時には毎回使用していました。

スウェーデンでは、私が今まで見た限り・または大学で習った限りではキャビトンのような水硬性セメントを使用したことがありません。(授業では出てきましたし、使っている先生もいるようですが)
その代わり水酸化ユージノールセメント(私たちはZOE、ソーエと呼んでいます。)をかなり使用しています。仮封を取るのも超音波ではなくタービンです。

スウェーデンで使われる水硬性セメントにはユージノールの入っていないCavitという製品もしくはColtosolという製品があります。
しかしどちらも硬化時に吸水膨張し、CavitではZOEに比べて2倍・Coltosolでは17~20 vol%膨張するようです。

この吸水膨張は歯の破折や亀裂の大きなリスクになり、さらに膨張は咬合力によりさらに大きくなります。そのため、Coltosolは仮封などに使用されるべきではないという報告もあるようです。
Cavitに関しては気を付けて使用することが勧められているようです。

グラスアイオノマーは封鎖性があまりよくなく、EDTAなどの洗浄により象牙質の表面において、グラスアイオノマーが歯質にくっつくためのイオンが減ってしまうといわれています。
さらには硬化時の水分や乾燥に敏感で、うまく扱わないと亀裂が入ってしまうリスクが高まるそうです。
しかし、機械的性質には優れています。

そして・・・私が日本では常に使用していた綿球。
これはスウェーデンでは(カロリンスカでは)絶対に使わないように習います。
なぜ!!
根管に仮封材はいっちゃったらどうすんの!
取りにくいじゃん!
と思ったのですが、それには4つ理由があって
1、仮封の厚みが減ってしまい、漏洩のリスクになる。
2、綿球が柔らかいので咬合の度に仮封材が沈み込み仮封の破折や漏洩につながる
3、綿球の繊維が少しでも仮封の外に出ていたらそこから漏洩する可能性がある
4、側枝や髄管などから綿球を通して漏洩する可能性がある

ということでした。

いままで綿球を使っていてそれほど問題が起きたことがなかったので
そうなんだ・・・という感じだったのですが、確かに言われてみれば漏洩のリスクは大きくなりそうです。
ただ、こちらのZOEを治療後の根管にもりもりつめて、次回来院時にすべてタービンで取っているのをみると、パフォらないかちょっとひやひやしてしまいます。
歯質を余分に削ってしまうリスクもあるので気を付けなければいけないと思いました。

水酸化カルシウムもたっぷりつめて、さらにはしっかり仮封をし漏洩のリスクをなるべく減らす!という感じでしょうか。
危ないことは絶対に避けるのがちょっとスウェーデンらしくて少し笑ってしまいました。
治療を見ていると、仮封を取るのにも時間が結構かかっています。(エンドに毎回1時間半くらい予約をとっているのでそれでも大丈夫なのかもしれませんが。)
仮封を取りきらないまま治療をしている先生もいたのでそしたらいくら仮封をしっかりしても水酸化カルシウムをすごく詰めてもダメなんじゃないか・・・と思ってしまうのですが・・・。

過去に仮封の漏洩でSinustractが消えなかった患者さんがいたので
仮封の大切さは身をもって知りました。
なのでそれを忘れないでこれから治療をしていきたいと思います。

まとめると、
仮封は3.5mm以上必要。
ZOE、水硬性セメント(Cavit)は機械的性質はあまり優れていませんが封鎖性はあるので短期間の仮封にはOK。しかし長期間仮封が必要になる場合や大きな窩洞の場合はZOEもしくはCavitの上にIRMセメントもしくはグラスアイオノマーを使用し二重仮封する。(膨張するので低めに詰める。)
綿球は漏洩のリスクを上げるので使用しない。

というのがカロリンスカでのやり方のようです!

Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

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