日々のこと

いつもブログの記事を書こうと思うと、色々調べたりガイドラインや歯科新聞を読んだりして調べなければいけないのでとても長い時間かかってしまい
なかなか時間がたくさんあるときしか書けないのですが
今日は日々の大学生活について日記感覚で書いてみたいと思います。

さて、昨年8月後半から始まったKUTもあと3ヵ月強しか残っていません。
そろそろ就活をしなければいけない時期がやってきました。
つい先日は卒業間近の学生に向けてたくさんの歯科関係者が集まり、就活セミナーが大学で行われました。

色々と不安です。
なぜかというと、スウェーデンでは大学を卒業したばかりの学生の多くはFTV(国民歯科)で働き始め、数年そこで研鑽してから次のキャリアに移るというのが普通なのですが、ストックホルム(ほかの地域もですが)のFTVはかなり人手不足に陥っておりものすごい忙しいのです。ワークライフバランスのとれたスウェーデン!などと言われていますが、私の職場では先生たちが忙しすぎて業務に全然手が回っていなかったりして色々あり、経験のある先生方が立て続けにやめてしまい、さらに人手不足に。患者さんの予約も数か月先なんてことも。
初めの1年はHandledareというスーパーバイザーの先生がついてくれるのですが、そのHandledareも不足しているといった状態です。
なので職が見つかるかどうか・・・

郊外や田舎に行けばストックホルムよりも落ち着いた環境で仕事ができるとは聞きますが、同じFTVでも使っているレセプトのシステムが違うし何しろストックホルムに家族も家もあるので引っ越すのは無理そうです・・・。

クラスメイトが私の働いているFTVの上司と面接をしたらしいのですが、その時に私の名前が出たらしく『使っていないマイクロがあるから使い放題だね♪ エンドはやってもらおう!』なんて言ってくれていたみたいなのですが、とりあえず数か所見学してから決めたいと思います。(雇ってくれるところなんてあるのかな・・・)

スウェーデンに来て私の短所は極端に自分に自信がないことだとはっきり理解したので、少しは自分が日本で経験があると思いおどおどしないでやりたいと思います。
日本で少しでも働いてきて本当に良かったです・・・これで未経験だったらどうなっていたのでしょう。

大学はというと、1月から本格的に臨床が始まり患者さんを普通に診療しています。
面白いのはFTVではほとんどが検診・CRやクラウン、たまにエンド・・・という感じだったのですが大学では学生が診ることができないケースがKUTに回ってくるので、咬合挙上のケースやパーシャル、さらには内部吸収の歯のエンドまであります。
パーシャルなんてFTVでほとんど見なかったのに!
それからCRでMODBとかの大きな窩洞を修復するのも結構やっています。これはFTVでもかなり見ましたが。

お恥ずかしい話、補綴が苦手だったのですが今では若干鍛えられた気がします。ほぼ毎日技工室に行って石膏を注いでいます。逃げていたことはいつかきちんとやらなければいけない様にできているんですね。

たどたどしいスウェーデン語ながら、きちんと説明するよう心掛けて一生懸命口腔衛生指導を行っていますが、良い患者さんが多く、私の説明や指導にきちんと耳を傾けてくれており今のところ楽しくやっています!
全ての患者さんに対して治療計画を細かく立てなければいけないのでとても勉強になっています。
私は口腔内全体の治療計画を立てるのが割と苦手で、1歯に注目して考えがちだったのですが、計画を立ててチェックしてもらい、さらに治療内容によってさらにチェック表があるので基本からきちんと学ぶことができています。
このコースに入って、本当に良かったと日々感じています!
(エンドに関してはやり方が少し違うしマイクロも使えないので少しストレスですが・・・)

それから、生徒会のメンバーに選ばれました。
コースの改善や選別に関われるらしいので楽しみです。日本で全く器じゃなかったのに生徒会長をやっておりそれをメールに書いたら選ばれたので、やって無駄なことはないものだと感じました。今回の経験も将来につながるかもしれません!

後は、学校のロッカーに泥棒に入られました!
父から送ってもらって慣れ始めたばかりのルーペが盗まれました。
ロッカーにたどり着くまでには鍵が3つあるのですが、2つは上手くすり抜け3つ目はこじ開けられました。
私はルーペとなぜか救急患者さん用のファイル(中身は盗まれませんでした)、クラスメイトは家の鍵(アドレス付き)を盗まれパニックになっていました。
もう1人のクラスメイトはスクラブが盗まれ、犯人は彼女のスクラブと私のファイルを持ち学生に見せかけて逃走したそうです。
鉢合わせてしまった子が追いかけたそうですが、逃げられてしまったようです。
かなり落ち込みましたが、今は少し元気になりました。
盗まれた数日後に、技工士さんから作業模型を落として壊れたと連絡があり印象とり直しになったのでその週はもうガックリでした・・・

スウェーデンに移住し丸2年が経ちましたが、初めに引っ越してきた時の
『スウェーデンの歯科!あこがれる!予防学ぶぞ!』という気持ちから、こちらに慣れれば慣れるほど『自分は海外に住んでいるというだけの若手ペーペー歯科医師・・・スウェーデンの歯科どころか、歯科の基本すらできてない。私ももっとできるようになりたい・・・』と思うようになりました。
あのまま日本にいたらもっとできるようになっていたのかな・・・とか思うこともあります。
活躍する先生方、次のステージに進む先生方を見て、私はなんだかとんでもない方向にずれていっているのではないかなんて考えることも。

とりあえず歯科医師免許を取るのが目標だったのですが、目標に近づくほど自分がやりたいことができているのか、第一の目標のあとに本当にやりたいことはなんなのか悩むことがあります。こちらで免許とってどうすんの!?という気持ちにもなります。
こんなこと書くのはこっぱずかしいのですが(コレ読まれてるし)、私の目標はやっぱり父(そして自分の専門治療をしている時の母)のような歯科医師になることです。口腔内を全体的に把握して、勉強をやめず、患者さんの変化をずーーーっと追っていきたい、自分がやった治療で患者さんがどう変化するか、指導でどれくらい口腔の状態を保っていけるかをずっと見ていきたいです。
でも、それはきっと開業するか同じところでずっと働かなければ無理なことなのかもしれません。だから私はスウェーデンでそれができないかもしれません。ここに居続けていいのか。ここで診療を続けて、自分にしかできないことややりがいがみつけられるのか・・・。まだ何も見えないのでとりあえずはしばらく働いてみてから将来を考えたいと思います。
それからペリオにもカリエスにも補綴にもエンドにも高クオリティな治療と知識を追求し、娘の質問にもだいたいすべて論文付きや自分の症例付きで返事を素早く返すなんてなかなかできることじゃないと思うんです。そういう風になるのはまぁ難しいので何か1つでも武器を身に着けようと思います。

明日からまた診療。とりあえず一歩一歩目の前のことから着実に頑張ろうと思います。

なんだかいろいろ書いてしまいましたが・・・
学校の写真など載せて終わりにします。
くだらない戯言にお付き合いくださりありがとうございました。

15人のクラスです。

私のユニット。今は人形が取られて患者さんが座ります。

カロリンスカ周辺


図書館

印象材で作られた蓋。壊れたものを歯科材料で修復・代用するのは全世界共通のようです。(クラスメイト談)

フッ化物の使い方

お久しぶりです!
本格的に患者さんを見始めて、だいぶ慣れてきました。
ただ、やはり言葉や文化の違いに苦労する毎日です。
年輩の方の冗談やちょっとした世間話にも苦労しています・・・。
予約の電話も私たちがしなければいけないのですが、それだけでも一苦労です・・・

症例は、このほとんどパーシャルのないスウェーデンでパーシャル症例ばかりやっています・・・私、補綴が苦手なのに。いい機会だと思って頑張ります!
好きなエンドは全然来ません。エンドをやるように紹介が来ても、だいたいエンドをする理由が見当たらずに経過観察になっています。
あとはスウェーデンらしい、破折→CRばかり・・・

頭がものすごく疲れますが何とか毎日楽しくやっています!
優しい患者さんも多く、この前は日本語で『ありがとう!』と言ってもらえました。嬉しかったです!

今日は友達と相互でマウスガード(Bettskenaベットフェーナといいます)を作ったのですが、咬合調整・・・難しかったです。
やわらかいマウスガードを日本ではよく見ましたが、こちらでは硬いミシガンタイプのマウスガードがよく使われます。
咬合調整をRP,IPで臼歯から3番まですべて均等に当たるようにし、側方運動、前方運動でガイドの線がまっすぐなるように何度も何度も調整しました。私の咬合がちょっとおかしく、友達は苦労していました。
そういえば、ストレートのハンドピースをあまり使わないのですが、今日は使った上に私の卒業した大学で習ったストレートの持ち方を推奨されてなんとなく嬉しくなりました。

さて、本題ですが。
フッ素(ご指摘をいただきましたので、フッ化物とさせていただきます!)の使い方をできるだけ詳しく書いていきたいと思います!

フッ化物の使用だけが予防ではないのでいろいろそれ以外にも考えなければいけないのですが、とりあえず今回はフッ化物に絞って・・・

はじめに、今回の記事はLandsting(ランスティング)というスウェーデンの医療などを担っている広域連合、または広域連合が集まって決められたvårdprogramというガイドライン、さらにInternetodontologiというスウェーデンの歯科のサイト(すごく良くサイトなんです!スウェーデン語なのですが・・・)、それからカロリンスカの授業を参考にしました。Vårdprogramでは、各連合(または連合の集まり)によってどのように医療を行うかが決められており、だいたいがSocialstyrelsenのナショナルガイドライン等がもとになって決められているようです。
各連合によって少しの差はあるのですが、基本的には似たり寄ったりなので
今回は、Västra Götalands läns landstingのプログラム、
Kronobergのプログラム、
Norrbottens läns landsting
Västerbottens läns landsting
Västernorrlands läns landsting
Jämtlands läns landstingの4つの北の連合の共同のプログラムを参考にしています。

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まずは、
リスクがそれほど高くない、一般の方には
フッ化物の基本的予防【Basprofylax】が推奨されます。
1日2回、1000~1500ppmのフッ化物入りの歯磨き粉を2cm歯ブラシにとって磨く。(ただし、1500ppmのほうが1000ppmよりも予防効果が高い)
というものです。
さらに、北の連合のプログラムには、萌出したばかりの歯はカリエス感受性が高く虫歯になりやすいので、フッ化物塗布を基本的予防として行うと書かれていました。

大人には2,2,2の法則で磨くと教えていて、
1日2回、2cmの歯磨き粉で、2分磨く!と指導しています。
それから、磨き終わった後も水でたくさんゆすがないで、余分な歯磨剤を吐き出して終わりにしてもらいます。

子供は量が違うのですが、後でまた書きます!

カリエスリスクが高い患者さん、初期う蝕がある患者さんで進行のリスクがある患者さん(カリエス活動性が高い)には【Basprofylax】に加え、追加の予防プログラムを勧めます。
1、0.2%フッ化ナトリウム溶液による毎日の洗口
2、フッ化物ジェルをマウスピースに入れて毎日使用する
3、5000ppmのフッ化物入り歯磨き粉(ガイドラインでは根面カリエスに推奨されていますが、歯冠のカリエスにももちろん使用できます)
4、フッ化物塗布1年に2回(カリエスリスクが高い方)
5、フッ化物塗布1年に4回(進行のリスクがある初期カリエス)
が推奨されています。

第一選択としては患者さんが12歳以上なら0.2%フッ化ナトリウム溶液による毎日の洗口が推奨されます。(6歳~12歳までは0.05%の溶液が推奨)

フッ化物のガムやタブレットは、洗口の補足として使用されることがあります。

さらなる選択として、18歳以上~の患者さんにはDuraphat 5000ppm Fの歯磨剤で朝晩2回歯磨きをする、またはマウスピースに4200ppmFのジェルを入れ、1日1回5分間、3か月~6か月、必要があればさらに長期で使用することが推奨されています。

どの選択肢をお勧めするかは、患者さんのニーズと協力度で決定します。

私の職場では、それほどリスクが高くない患者さんに対してもフッ化ナトリウム溶液による洗口をお勧めしていました。フッ化物の歯磨剤で歯磨きをした後にゆすぐのでなく、Fika(コーヒーブレイク)のあとにぶくぶくしましょうねーと勧めている先生もいました。

さらに歯科医院で行うフッ化物塗布は、Duraphat 5% NaF (22600ppm F) を1年に4回・または4200ppmFのジェルをマウスピースに入れて3回×5分のパスを2日連続で1年に4回行う方法が勧められています。
新しいフッ化物塗布剤として、Bifluorid 12® (56 000 ppm F)というのがあるそうですが、最近の研究によるとDuraphat22600 ppm Fと効果の違いはないとのことです。

口腔乾燥が認められる患者さんには、まずは洗口剤で1日に1~2回ゆすぐことを勧めます。歯磨剤は5000ppmFのものを使ってもらい、フッ化物のガムやタブレット・口腔乾燥用のタブレット(ここではXerodentの0.25mgFのタブレット)の使用も勧めます。
協力が得られない患者さんは、歯科医院に来ていただきフッ化物塗布などを行います。

根面カリエスには、フッ化第一スズの使用も勧められていますが着色してしまうのが難点です。

(残念なことに、今スウェーデンで問題になっている酸蝕症にはフッ化物の効果は期待できないようです。再石灰化するための歯質がなくなってしまうからだそうです。)

以上が全員に推奨する基本予防プログラムと、
リスクの高い方に追加で推奨する追加予防プログラムでした。

フッ化物はいつから使っていいの?ということですが、
歯が出てきたらすぐに使用することが勧められています。

歯磨剤(NaF,MFPまたは両方の入ったもの)は
歯の萌出から2歳まで・・・1000ppm、量は子供の小指の爪程
2歳から6歳・・・1000ppm、小豆大位の量
6歳以上・・・1450ppm、1-2cm
使用し、1日に2回歯を磨くように指導します。
子供は10歳~12歳になるまでは手の動きなどが発達しきっていないため保護者の仕上げ磨きを勧めています。

洗口剤は、カリエスリスク・カリエス活動性が高い
6歳から12歳・・・0・05%フッ化ナトリウム溶液(225ppmF)
12歳~・・・0.2%フッ化ナトリウム溶液(900ppmF)
に勧められ

フッ化物塗布は、
1歳~6歳では、カリエスリスクが高い・またはカリエス活動性が高ければ、早期から使用が推奨されています。保護者の方に、歯の磨き方や食べ物、食べ方を質問し、アドバイスを行い(なぜカリエスになってしまったかの原因を突き止めるのが一番重要です!)毎回の受診時にフッ化物塗布します。
虫歯になってしまったら、特に前歯部でフッ化物を塗布します。

量としては、Kronobergのガイドラインによると乳歯列ではDuraphat5% NaF (2,26 % F)が最大で0.25ml
混合歯列では最大0.40ml
永久歯列では最大0.75ml
使用でき、リスクが高い部位・カリエスがある部位に薄く塗布する分には上限を超えることはないと書かれています。

(補足ですが、フッ化物の使用に加えてミュータンス菌が多い患者さん、カリエスリスクが高い方にはクロルヘキシジンでの洗口を使用を勧める場合もあります。この場合は最大2週間に限定します。さらに、ラウリン酸ナトリウムがクロルヘキシジンを阻害するのでラウリン酸ナトリウムの入っていない歯磨剤に変えてもらいます。
歯の着色・味覚の変化が副作用です。
このラウリン酸ナトリウムは、口腔粘膜が敏感な方だと傷つける可能性があるので
粘膜が剥離していたりするのを見つけたら、入っていない歯磨剤をお勧めしています。)

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Vårdprogramをざっとまとめてみるとこのような感じになりましたが、
こちらの人は結構小さいころから必要に応じてフッ素をバンバン使っているイメージです!
最近は日本でもフッ化物の濃度の高い歯磨き粉も出たようですが、今までは950ppmの歯磨き粉しかなかったと記憶しています。
私が働いている国民歯科では、問題の患者さんはだいたい1年半~2年に1度定期健診をするので特に定期検診に頻繁に来ているからカリエスが少ないというわけではなさそうなのですが・・・
1450ppmのフッ化物歯磨剤を使っているというのも要因の1つかもしれませんね!

それでは最後に、本日紹介した製品の写真を載せて終わりにしたいと思います!
販売目的でなければ写真を載せてもいいようですが、まずかったら消しますので教えてください・・・

フッ化物塗布剤のBifluorid 12。Duraphatと効果の差はないらしいです。

ゼロデントのタブレット。口腔乾燥の方に。オレンジ味だそうです。

ラウリウ酸ナトリウムが入っていないセンディウム。

クロルヘキシジンの溶液。これで口をゆすいでもらったり、粘膜を洗浄したりします。


Duraphatのフッ化物塗布剤

 


Duraphatの歯磨き粉。5000ppm。リスクの高い方に!