スウェーデンの歯科の意識・・・

大学が終わり、先日Sosに書類を送ったので現在免許が来るのを待っています。
2週間かかるとのことだったのでちょうど両親がスウェーデンに来る頃に免許が取れるのではないかと期待しています。

新しい職場に3回ほど、カルテのシステムを習いに行ってきました。
もうすでに患者さんがちらほらと予約されており、しかもすべてエンドのケースでした!エンドのハンズオンのセミナーも予約されていたので、国民歯科では一般歯科もやりつつエンドのケースを担当する係になるのではないかと期待しています。(専門医ではないですが、Nischad tandläkareといって得意な分野や興味のある分野を担当する係があります。外科のニッシュ、補綴のニッシュ、エンドニッシュなどがあり、ニッシュの先生はニッシュ教育に参加したりできます。)

スウェーデンはカルテは全て電子化されており、国民歯科ではT4というシステム、カロリンスカではOpusというシステムが使われています。(ほかにも色々なシステムがあります。)
スウェーデンで一番初めに使ったのはT4だったのですが、大学に入りOpusシステムにすっかり慣れてきたところでまたT4に逆戻りです。T4はグラフィックがきれいですが結構複雑でわかりにくいところもあり、Opusは割とシンプルですが融通が利かないところがあります。

どのカルテシステムも、保険庁とつながっておりカルテに治療と状態の番号を入力すると患者さんの支払う料金が出てきます。
組み合わせられない治療や状態があるので、間違った組み合わせをすると保険庁が承認してくれず、患者さんに請求することができなくなります。

ということで、組み合わせられない治療や状態、治療・状態の番号をなんとなく覚えなければいけないのがこれから苦労するところだろうと予想されます。
全ての処置が結構値が張るので、患者さんへの説明がかなり大切になってくると思いますが、カルテシステムの教育中に、教育係の衛生士さんから色々なアドバイスをされました。

私が大学病院で働いていた時、エンドの治療は何時間かけても再診と洗浄しかとれない・・・なんてこともままあり、ものすごい安い金額で治療をしていました。
おかげで、自分の治療ややっていることに値段が発生するという感覚を失いかけていたように思います。そのため、基本の検診に1万円近くかかる(割引がありますが)というスウェーデンの値段設定に気が引けます・・・。さらに、例えば1本の痛みがある歯なんかを詳しく診察する場合には、基本の検診に加えて補完の検査という処置がとれます。それも5千円近くします。なので、良心的すぎる先生は1本だけだから・・・といっておまけしてあげて、基本の検診代だけでチェックしてあげることがあるようなのですが、教育係の衛生士さんに『やった処置はきちんととる!そういう癖を最初からつけておかないと、これから一生おまけし続けることになる。私たちのやっていることにはお金が発生しているのを自覚すべし。時間にも価値がある。1本の歯だからと言っておまけしても、その歯の検査に10分かけているのなら10分タダ働きしているのと同じ』と言われました。

それでも『でもたったの10分だし・・・日本では処置が安かったからやっぱり罪悪感が・・・』と言ってしまったのですが、衛生士さんに『スウェーデンの患者さんは、歯科治療が高いことに慣れている。きちんと説明すれば納得するし、みんなお金を払うこと前提に歯科医院に来ているんだよ』と言われました。

改めて、日本の治療の安さに悲しくなりました。
みんなが安く、いろいろな治療を受けられるのは良いのかもしれませんが、6年も勉強し厳しい国家試験を乗り越えて研修までこなした先生たちの治療の価値があまりにも低すぎないでしょうか・・・
それで、患者さんに自費の治療を勧めたりすると『あの歯医者は金もうけばかりしようとしている・・・』なんて言われたりしますよね・・・。
治療の点数が低いので、患者さんを数見なければ食べていけなくなり、10分15分でエンドや形成をしたりしなければいけなくなり、ラバーダムも使えずぶん回すしかなくなる・・・そして再治療が必要になる・・・
それが本来の歯科治療のあるべき姿なのか疑問です。
そんな短時間で歯周病の基本治療をきちんとおこない、評価し、患者さんのモチベーションを上げ、適切なエンドや補綴物を入れる・・・なんてことがきちんとできるのでしょうか・・・。

スウェーデンにももちろん問題はたっくさんありますが、15分でぶん回しているような医院は国民歯科ではみたことがありません。(もちろんずるしまくっている先生だって結構いるみたいですが。。。)

今まで、スウェーデンで患者さんを診てきて思ったのは、みなさん歯周病や虫歯は自分でケアすれば防げるもので、虫歯や歯周病になってしまったのは自分のせい。なので高い治療費を払うことになっているのは自分のせい・・・という意識を持っているかたが多いということです。少なくともストックホルムのまぁまぁ経済的に安定している地域ではのことですが。
治療費が高いからこそ、みんな歯は歯肉は大切だと思っているようだし、定期的に歯科医院にくる方が多いです。
そりゃあ虫歯になってもエンドが必要になっても、数千円で治療が受けられるのであれば必死になって予防しようとは思わないのではないかと思います・・・。

こっちは歯科医師が不足しており予約を取るのも難しいため、日本のようにとりあえずどこかに駆け込めば診てもらえるというわけにはいきません。そのため、ここで歯が痛くなると、1、すぐに時間が取れないので待たなければいけない 2、時間の融通が利かないので仕事を休まなければいけないかもしれない 3、高額・・・というようないろいろな弊害が出てきてしまいます。

歯科・医科に日本のように気軽にかかれないからこそ、予防が発達しているのかもしれないなと思いました。みなさん、歯が欠けたり痛みが出ることが日本に比べるとずっと深刻な事態なのかもしれません。

今回も小話になってしまいましたが、これから抗生剤の話、子供の矯正の話(全員が無料で受けられるわけではないんです)、老人ホームに歯科検診に行った話、歯科ガイドラインの話などを書きたいと思います!
モチベーションを上げなければ!頑張ります!!!

Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

4 thoughts on “スウェーデンの歯科の意識・・・”

  1. こんにちは。

    フランス在住で、右下6番を(おそらく)歯ぎしりのために破損して半年前に抜歯、ひと月後にインプラントをすることになった者です。抗生剤を飲みたくなくて、ネットを放浪、ここまでたどり着きました。お忙しいとは存じますが、参考意見をお聞かせ頂けますと、幸いです。

    今回のインプラントに際しての処方は、抗生剤は系統を変えていただき(現地名BIRODOGYL)を一週間分、プレドニゾロンというステロイド、痛み止め、うがい薬を出されました。抗生剤は手術前日朝から3回、当日朝を含めて、4回服用するように言われました。

    私の場合、患部の骨も問題があるとも言われませんでしたし、20年以上虫歯もありません。歯茎の色や状態など含めて、口腔内の状態は悪くないと思います。

    あくまで清潔な環境の下、滅菌した道具で滅菌した材料を埋入するわけですよね。投薬に関しては、医師や看護師、薬剤師は「そういうものだからそういうものだ」的な説明です。

    抜歯の際は蕁麻疹で一週間眠れなくて、免疫が下がりこそすれ、傷口の治癒が早まった印象が全くありません。はっきり言って、抜歯より、蕁麻疹を治すほうがよほど大変だったのです。インプラントで同じことを繰り返すのはもううんざりです。

    スウェーデンでの事情、ご経験に基づくご意見などをご教示いただけますと、幸いです。

  2. すみません、推敲の際に削ってしまいました。

    前回の抜歯の際の処方はアモクシシリン一週間分で、発発疹が出てからやめたので、服用は3日ほどでした。それでも全身の発疹と痒みが引くのに一週間ほどかかりました。抜歯後の傷口は、すみやかに問題なく回復しました。ですので、私の体にとっては、抗生物質の処理のほうが、負担だったと思います。

    それで今回は、お薬を変えていただいたのですが、再び、有無を言わさず一週間分、でしたので、納得いかず、インプラントに際して、スウェーデンでの抗生物質の投与量に関してお伺いできればと思いました。こちらでも一般国民は漠然と「北欧のほうがそういうのは考え方が進んでいる」という認識はあるようです。

    話が前後して申し訳有りません。

    1. お返事遅れて申し訳ありません!
      インプラントはどうなったでしょうか・・・?
      スウェーデンでは健康な方に対して抜歯を行う際には基本的には抗菌薬は出していません。インプラントに関しても、特に必要ないようですが、
      骨への侵襲が大きくなるようなオペなどに関しては健康な方でも抗菌薬を処方する場合もあるようです。但し、エムエムさんの場合はインプラントの部位や術式などがわからないため
      抗菌薬の服用が適切かどうかを把握できません。

      “抗生剤は手術前日朝から3回、当日朝を含めて、4回服用するように言われました。”
      このような服用の仕方はスウェーデンでは行っておらず、リスク患者さんには術前に1回抗菌薬の予防投与を行うだけです。

      フランスの抗菌薬事情がとても気になります。同じEU圏でも抗菌薬に関してはかなり使用方法が違うようですね。

  3. ブログいつも楽しく拝見しています。私もスウェーデン在住で、まだこちらで歯医者さんのお世話になった事はありませんが、こちらの記事と友人達から高額な歯科診療代の話しを聞き、歯科検診以外なるべく受診を避けようと、毎日歯磨き・ワンタフト・フロスを使ってます。先生のブログが私の虫歯予防モチベーションになっています!笑
    日本で通院していた歯医者さんは、虫歯治療も痛くなく、いつもサクサク15分程で次々と患者を診察してくれていましたが、それは保険の点数の関係もあったのかもしれないと感じました。どちらの国も、医者も患者にも丁度いいシステムになるといいですね。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *