上手くいかない歯周病治療

先日歯周病の専門医がクリニックに来て講義をしてくれました。

彼はマルメ大学出身、ヨーテボリで勉強し今は専門医としてストックホルムで働いているとのことです。
講義はとても分かりやすく、歯周病治療へのモチベーションが上がりました。
炎症を戦争、細胞を軍に例え、炎症の最前線で何が行われているかの説明は本当に面白かったです。分岐部のスケーリングをする場合は、自分が小さくなって、分岐部に入り込んでいるイメージをしているそうです。
そんな興味深い講義のおかげで歯周病治療のモチベーションがより上がったのですが。。。モチベーションが上がったのは歯科医師と1部の衛生士さんだけ・・・

実は私たちの働くクリニック(おそらく他もそうだと思いますが)では歯周病治療のやり方が問題になっています。

それは、歯科医師と(1部の)衛生士の連携がうまく行っていないことと、患者さんが歯周病の自覚なく定期的に衛生士さんのもとで歯石取りをしているけれど何年たっても歯周病が治らないことです。(自分が歯周病という自覚がないのであたりまえですが)
上司の1人が衛生士さんでしたが、彼女がクリニックの歯周病治療のやり方に疑問を持ったのと度重なる歯科医師から衛生士に対する苦情に、クリニック全体で歯周病治療の質を上げていこうということで会議のたびに取り上げられていました。

なぜ歯周病の改善がみられなかったのか、それは再評価が行われていなかったというのが大きな理由の1つです。
歯科の治療で最も大切なことの1つは再評価だと思います。
自分たちの治療が成功したか、改善が見られたかを評価しなければ、そのまま治ったか治らなかったかもわからず宙ぶらりんです。

また、難しいペリオの患者さんを診たがらない衛生士さんたちがいるのも問題です。クリニックには歯周病専門の資格を持った(ニッシュと呼ばれる)衛生士さんがいて、歯科医師たちは重度歯周病のケースを信頼できる彼女にばかり予約するようになりました。
そしてついに彼女から、ほかの衛生士にも予約しないとほかの衛生士の技術が上がらないのでみんなに平等に予約をするように歯科医師たちが注意されました。

歯科医師たちはほかの衛生士たちにも予約するようになりましたが、それが全くうまく行きません。
歯石は残っているしプラークコントロールもできていません。
挙句の果てに『難しいケースはAに予約して』と治療を拒否しはじめました。

歯周病の初期治療は、ざっと
1、診査、計画
2、衛生士さんのもとでMIB(メカニカルインフェクショントリートメント、つまりスケーリングのことです。)TBI
3、必要によっては再びTBI
4、再評価

こんな流れになりますが、とりあえず2だけを繰り返しているケースが後を絶ちません。
15年以上働いているベテランの衛生士さんたちに見られる傾向ですが、彼女たちも長年働いてきた方法を変えるのは難しいのでしょうか・・・

今、歯科医師は歯周病の患者さんに出会ったら計画を立ててカルテに書いて衛生士さんに予約を取っていますが、なかなか連携がうまく行きません。とにかくケースの相談ができないです。
ニッシュのAさんとはケースを一緒に相談したり、カルテ上でもうまくやり取りできるのでうまく連携できるのですが。。。(だからどうしても、Aさんに難しいケースを予約したくなります)

これからどう私たち歯科医師が引っ張っていくのか、みんなで考えなければいけないと常に話しています。
歯科衛生士の業務範囲が広いスウェーデン、それだけ歯科医師がリードして治療を進めていくのが難しいと感じています。

これからどうなっていくのか・・・

Author: Y

2012年に都内歯科大を卒業。 その後しばらく働き、 2016年2月にストックホルムに移住。 スウェーデンの歯科に興味を持ったのは大学3年生のカリオロジーの授業のとき。 スウェーデンの歯科の実態が知りたい!

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